固定費・変動費とは
固定費とは、売上や生産量が増減しても、短期的には金額がほとんど変わらない費用です。家賃、正社員の給与、システムの月額利用料などが代表例です。変動費とは、売上や生産量に応じて増減する費用です。材料費、販売手数料、外注費、決済手数料などが当てはまります。
この区分は、売上が変わったときに、利益がどの程度変わるかを見通すために使います。固定費が大きい事業は、売上が伸びると利益が大きく増えますが、売上が落ちたときの損失も大きくなります。
仕組み・ポイント
二つの費用の関係を、表で整理します。
| 項目 | 固定費 | 変動費 |
|---|---|---|
| 売上が増えたとき | ほぼ変わらない | 増える |
| 売上が減ったとき | ほぼ変わらない | 減る |
| 例 | 家賃、固定給、保守料 | 仕入れ、手数料、外注費 |
| 管理の焦点 | 構造と負担の大きさ | 売上に対する割合 |
実際には、完全に固定的な費用や完全に変動的な費用は少なく、一定の活動量を超えると固定費が階段状に増えるといった性質を持つ費用もあります。たとえば、人員を増やさないと対応できない規模になると、人件費が段階的に増えます。分類をするときは、どの範囲の活動量を前提にしているかを明確にします。
実務での使い方・具体例
以下は、状況を一般化した架空の例です。実際の事業では、自社の契約や数字に合わせて読み替えてください。
新規事業では、固定費をどこまで持つかが、事業の安全性を左右します。固定費が小さければ、売上が少ない時期でも持ちこたえやすく、固定費を大きくすれば、拡大のスピードは上がりますが、赤字の時期のリスクも高まります。
たとえば、サービスの提供に必要な人員を、正社員で雇うか、必要なときだけ外部に委託するかは、固定費と変動費の選択です。最初は変動費として外部委託を使い、売上が安定してから固定費に切り替える進め方もあります。この判断には、固定費と変動費の構造を理解し、損益分岐点を試算することが欠かせません。
実務でのチェックポイント
- 費用の一覧を、固定費と変動費に分けて表にする。
- 売上が増減した場合の利益を、複数のシナリオで試算する。
- 固定費を増やす判断の前に、損益分岐点がどう変わるかを確認する。
- 費用の分類は、期をまたいで一貫させる。
よくある誤解と注意点
- 固定費が大きいことは、必ずしも悪いわけではありません。売上が伸びたときの利益の拡大につながります。
- 変動費の削減ばかりを考えると、品質や顧客の満足を損なう恐れがあります。
- 費用の分類は、前提とする活動量の範囲によって変わるため、前提を明示します。
- 契約の仕方次第で、固定費と変動費は入れ替わります。たとえば、固定の月額契約を従量課金に変えれば、変動費化できます。
固定費と変動費の分類は、あくまで分析のための道具です。完璧な分類にこだわるより、判断に役立つ精度で十分と割り切る姿勢が実務では役に立ちます。
月額課金の新規事業では、解約により売上が減る一方、サーバー費などは残ります。この構造を理解して、固定費を無理なく賄える顧客数を計算しておくと、目標が具体的になります。
なお、制度や基準は変わるため、最新情報は公的機関・専門家で確認してください。
関連用語
- 損益分岐点:固定費と変動費から求める黒字化の水準
- 限界利益:売上から変動費を引いた利益
- 原価計算:費用を製品やサービスに対応させる計算
- バーンレート・ランウェイ:固定費の負担と資金の持続期間
Otsumuに相談できること
固定費をどこまで持つかは、新規事業の安全性と成長の速さを決める判断です。損益構造の試算を一緒に行いたいときに、お気軽にご相談ください。詳しくは新規事業の戦略・事業計画の支援ページをご覧ください。
論点の整理から始めたい段階でも、30分の無料相談をご利用いただけます。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.04