繰越欠損金(欠損金の繰越控除)とは
繰越欠損金とは、ある事業年度に生じた税務上の赤字(欠損金)を、翌年度以降に繰り越して、将来の黒字と相殺できる制度、またはその繰り越された金額のことです。これにより、赤字の年度の損失が、後の年度の税負担の軽減に活用されます。
たとえば、立ち上げの年に赤字が出て、翌年に黒字が出た場合、前年の赤字を差し引いて課税所得を計算できます。新規事業のように、初期に赤字が続き、その後に黒字化する事業では、特に関係の深い制度です。
仕組み・ポイント
制度を使ううえで確認する要素を整理します。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 適用の条件 | 申告の方法など、所定の要件を満たしていること |
| 繰越の期間 | 何年にわたって繰り越せるか(制度で定められている) |
| 控除の限度 | 繰越欠損金を使える額に制限があるか |
| 企業の区分 | 規模により扱いが異なる場合がある |
| 手続き | 欠損金が生じた年度から継続して申告しているか |
制度の内容は、改正により変わることがあります。特に、繰越の期間や、控除できる額の限度は、企業の規模や時期によって異なる場合があります。最新の情報で確認することが欠かせません。
また、会社の合併や、株主の大きな変更があった場合、繰越欠損金の使用が制限される場合があります。事業の再編を検討する際は、事前に確認が必要です。
実務での使い方・具体例
以下は、状況を一般化した架空の例です。実際の事業では、自社の契約や数字に合わせて読み替えてください。
新規事業を、新しい会社で始めるか、既存の会社の中で行うかによって、赤字の扱いが変わります。既存の会社に黒字があれば、新規事業の赤字は、同じ会社の中で相殺されます。別会社で始める場合は、その会社の赤字が繰越欠損金となり、将来の黒字と相殺されます。
事業計画では、数年間の損益の見通しをもとに、繰越欠損金の発生と使用の時期を試算し、納税額の予測に反映します。そのうえで、資金繰り表に納税額を織り込むことで、黒字化後の資金の見通しが改善します。
実務でのチェックポイント
- 赤字の年度から、継続して正しく申告できているかを確認する。
- 繰越欠損金の残高を、毎期、管理表で把握する。
- 繰越の期間と、控除の限度を、最新の制度で確認する。
- 株主の変更や会社の再編を行う前に、繰越欠損金への影響を専門家と確認する。
よくある誤解と注意点
- 赤字は、自動的に繰り越されるわけではありません。適用には、所定の手続きや要件があります。
- 繰り越した赤字を、無期限に使えるわけではなく、期間や限度があります。
- 会計上の赤字と、税務上の欠損金の額は、一致するとは限りません。
- 繰越欠損金があっても、地方税や、控除の限度を超えた部分の税負担は生じる場合があります。
- 繰越欠損金を目的とした会社の取引は、制限される場合があります。
欠損金の管理は、長期間にわたるため、担当者が変わっても分かるよう、記録を整理して残しておくことが重要です。
新規事業の黒字化の時期の見通しが変われば、繰越欠損金を使う時期も変わります。計画を見直すたびに、納税の見通しも更新しておく運用が現実的です。
なお、制度や基準は変わるため、最新情報は公的機関・専門家で確認してください。
関連用語
- 法人税:繰越欠損金を使う税金の基本
- 青色申告(法人):制度の適用に関わる申告の方法
- 益金・損金:課税所得を計算する区分
- 損益計算書(P/L):赤字の発生を確認する表
Otsumuに相談できること
初期の赤字と、その後の黒字化を前提とした事業計画では、税の負担の見通しが資金に影響します。損益と納税、資金の見通しをまとめて整理したいときにご相談ください。詳しくは新規事業の戦略・事業計画の支援ページをご覧ください。
論点の整理から始めたい段階でも、30分の無料相談をご利用いただけます。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.04