この事例の要点
- 宿泊、体験、サービスを予約できるプラットフォームで、売上のほぼすべては宿泊の予約によるものです。
- 物件の使用権を支配せず在庫リスクも負わないため、代理人として手数料部分だけを純額で売上に計上しています。
- 従来はホストとゲストの双方から手数料を取る方式でしたが、2025年10月からホストだけに課す方式への移行を始めています。
どんな事業か
Airbnbは、宿泊(stays)、体験(experiences)、サービスを予約できるプラットフォームを運営しています。2007年に2人のホストがサンフランシスコの自宅に3人のゲストを迎えたことから始まり、現在は500万人以上のホストが、延べ25億回以上のゲストの到着を迎えてきたと同社は説明しています。利用されているのは220以上の国と地域です(FY2025 Form 10-K)。
顧客はホストとゲストの両方です。住まいなどを貸し出したいホストと、泊まる場所を探す旅行者を結び付け、予約と支払いを仲介します(FY2025 Form 10-K)。
見知らぬ人どうしの取引になるため、同社はホスト向けの補償として、1回の滞在につき最大300万ドルの物損補償などを含む「AirCover for Hosts」を提供していると記載しています(FY2025 Form 10-K)。
収益の仕組み
売上は、顧客(ホストとゲスト)に請求するサービス手数料から、インセンティブや返金を差し引いたものです。宿泊の手数料は予約金額に対する割合で、予約金額、期間、地域、ホストの種類などによって変わると説明されています(FY2025 Form 10-K)。
会計上の扱いにも特徴があります。Airbnbは物件の使用権を支配しておらず、在庫リスクも負わないため、代理人として手数料部分だけを純額で売上計上しています(FY2025 Form 10-K)。
お金の流れは次のとおりです(FY2025 Form 10-K)。
- ゲストの支払いを予約時に受け取り、チェックインまで預かる
- チェックイン時に手数料を売上として認識する
- 手数料の課し方は、ホストとゲスト双方から取る方式から、2025年10月以降ホストだけに課す方式へ移行を始めた
数字で確かめる
- 売上高122億4,100万ドル、純利益25億1,100万ドル(FY2025 Form 10-K)。手数料の純額計上でも利益が残る規模に達していることが読み取れます。
- 予約された泊数・席数(Nights and Seats Booked)は5億3,300万(前年比8%増)、予約総額(GBV)は912億7,300万ドル(同12%増)(FY2025 Form 10-K)。件数と金額の両面で取引が伸びていることが読み取れます。
- 売上高をGBVで割ると約13%(10-Kの数値から計算)。予約総額のうちAirbnbの取り分のおおよその水準が読み取れます。なお、GBVはホストの収入、手数料、清掃料、税金を含む金額です(FY2025 Form 10-K)。
- 手数料を予約時に受け取るため、フリーキャッシュフローはGBVの時期に影響されると同社は説明しています(FY2025 Form 10-K)。売上の認識と現金の動きに時間差があることが読み取れます。
- 1回の滞在につき最大300万ドルの物損補償(FY2025 Form 10-K)。信頼を支える仕組みを仲介側が用意していることが読み取れます。
Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか
ここからはOtsumuの考察です。シェアリングとマーケットプレイスを組み合わせたこの型は、資産を自社で持たないぶん身軽に見えます。しかしOtsumuは、資産を持たない代わりに「取引が成立し、無事に終わること」を支える仕事を引き受けている点が、手数料の根拠だと見ます。補償の用意、支払いをチェックインまで預かる運用、返金の処理は、どれも当事者どうしでは解決しにくい不安に対応するものと読めます。
成り立つ条件として、供給と需要が同じ地域、同じ時期にそろうことが挙げられます。ホストが多くてもゲストが来ない地域、あるいはその逆では予約は成立しません。さらに、住まいを貸し出す事業は地域ごとの規制の影響を受けると考えられ、規制は後から対応する項目ではなく、事業を始められるかどうかを左右する条件として扱うべきだとOtsumuは考えます。
手数料を誰に課すかも設計の対象です。ゲストに見える手数料は予約時の印象に、ホストに課す手数料は供給者の参加意欲に響くと考えられます。移行が始まったという事実は、この配分が一度決めたら終わりではないことを示していると読めます。
自社事業に持ち帰る問い
- 自社は資産を持たない代わりに、取引の成立と完了のためにどんな仕事を引き受けますか。
- 利用者が予約や申込みの直前に感じる不安は何で、それに誰が応えますか。
- 取消や返金が起きたとき、お金と責任の流れを説明できますか。
- 始めようとしている地域や領域で、事業の可否を左右する規制を確認しましたか。
小さく試すなら
- 対象を一つの地域に絞り、貸し手の候補と借り手の候補がそれぞれ何件あるか、曜日や季節でどう偏るかを調べます。
- 借り手の候補に、予約前に不安に感じる点を聞き取り、多い順に並べます。貸し手にも同じ聞き取りを行います。
- 取消が起きた場合の対応を、誰が連絡し、いつ返金し、費用を誰が負担するかまで文書にまとめます。2〜4週間でここまで整えることを目安にします。
- 少数の取引を手作業で仲介し、不安の一覧と取消対応の文書が実際に役立ったかを確認します。成立率と対応の手間が見えたら、手数料の配分の検討へ進みます。
資料の位置づけ
企業・サービス:Airbnb, Inc. / Airbnb(宿泊・体験・サービスの予約プラットフォーム)。参照資料の対象:FY2025(2025年1〜12月)Form 10-K。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。
参考資料と編集について
zigyo.ai の関連ナレッジ ↗をもとに、Otsumuが検証・実装・運用の観点から再編集しました。制度・仕様・サービスの現況は、各提供元の最新情報をご確認ください。
編集:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.20