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Exelixis「CABOMETYX」に学ぶ自社販売と海外ロイヤルティを分ける事業設計

がん治療薬CABOMETYXを米国では自社で販売し、米国外はIpsenとTakedaに任せてロイヤルティを受け取る二本立ての構造を、米国Form 10-K(2025会計年度)の収益内訳から読み解きます。

分類:企業事例 › 医療・医薬・ヘルスケア

この事例の要点

  • Exelixis, Inc.は、がん治療薬CABOMETYX(一般名cabozantinib)を米国では自社で販売し、米国外はIpsenとTakedaなどの提携先に任せてロイヤルティやマイルストーンを受け取る、地域で役割を分けた設計をとっています(Form 10-K、2025会計年度)。
  • 2025会計年度の総収益は2,320,126千米ドルで、うち純製品収益が2,122,804千米ドル、ライセンス収益が214,375千米ドルでした(Form 10-K、2025会計年度)。
  • cabozantinib関連が収益の大半を占める一方、同社は営業キャッシュフローを次の候補薬zanzalintinibなどの開発に振り向けると説明しており、1つの主力製品から次の柱を作る設計を数字で確認できます(Form 10-K、2025会計年度)。

どんな事業か

Exelixis, Inc.は米国で上場する腫瘍(がん)領域の医薬品企業で、Form 10-Kを提出しています。同社は4つの医薬品を市場に出しており、うち2つがcabozantinibの剤形であるCABOMETYX(錠剤)とCOMETRIQ(カプセル)です。ほかに、Genentechとの提携で販売されるCOTELLIC、Daiichi Sankyoにライセンスしたmineralocorticoid受容体拮抗薬MINNEBRO(日本で高血圧に承認)があります。CABOMETYXは、腎細胞がん、肝細胞がん、分化型甲状腺がん、神経内分泌腫瘍などで承認されています(Form 10-K、2025会計年度)。

米国でのCABOMETYX、COMETRIQの販売は同社自身が担い、米国外はIpsen(欧州など)とTakeda(日本)がそれぞれ商業化を担当しています。同社は、米国外での商業的成功をこれら提携先に依存しており、その資源配分の量や時期を同社は管理できないとも開示しています(Form 10-K、2025会計年度)。

収益の仕組み

収益は大きく、自社販売の「純製品収益」と、提携先からの「ライセンス収益」(マイルストーンの一部とロイヤルティ)、「共同サービス収益」に分かれます。米国は自社で販売して収益を丸ごと取り込み、米国外は提携先に任せて、提携先の売上に応じた率を受け取る構成です。

  • 入り口:米国では医師・患者向けに自社で販売。米国外では提携先に開発・販売の権利をライセンスし、契約時や承認時に支払いを受ける。
  • 課金:米国は製品の販売収入。米国外はIpsen(米国・日本以外)が年間純売上の22%〜26%の段階的ロイヤルティ、Takeda(日本)が15%〜24%および20%〜30%の段階的ロイヤルティを支払う契約と開示されている。
  • 継続:適応症の追加により処方が広がり、併用療法(nivolumabとの併用)の需要が純製品収益を押し上げている。ロイヤルティは提携先の売上が続く間、積み上がる。

なお、米国外のcabozantinibのロイヤルティの一部の権利は、Royalty Pharma plcがGSKから取得しているとも記載されています(Form 10-K、2025会計年度)。

お金を払う人・対価米国の医師・患者:自社販売の純製品収益Ipsen・Takeda:段階的ロイヤルティ提携先:契約時・承認時の支払いCABOMETYXの米国販売と海外ライセンス
図1 Exelixisの収益の流れ(Form 10-K(2025会計年度)にもとづく整理)。

数字で確かめる

  • 総収益:2,320,126千米ドル(前期は2,168,701千米ドルで7%増)。主力製品を持つ企業としては、増収率が一桁台に落ち着いていることが読み取れます(Form 10-K、2025会計年度)。
  • 純製品収益:2,122,804千米ドル(前期比17%増)。うちCABOMETYXが2,113,369千米ドルで、収益が単一製品に集中していることが読み取れます(Form 10-K、2025会計年度)。
  • 米国外のロイヤルティ:179.2百万米ドル(2024年は166.9百万米ドル、2023年は148.5百万米ドル)。自社が売らない地域でも、提携先の売上から安定した収益が得られていることが読み取れます(Form 10-K、2025会計年度)。
  • ライセンス収益:214,375千米ドル(前期は349,244千米ドルで39%減)。マイルストーン収益が14.3百万米ドル(前期は169.3百万米ドル)に減ったことが響き、一時金型の収益は年ごとの変動が大きいことが読み取れます(Form 10-K、2025会計年度)。
  • 研究開発費:825.0百万米ドル、純利益:782.6百万米ドル(1株あたり希薄化後2.78米ドル)。9年連続の黒字を維持しながら、研究開発に多額を投じていることが読み取れます(Form 10-K、2025会計年度)。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。この事例は「ロイヤルティ(IP使用料)」と「直販営業」を地域で使い分ける型として読むことができます。市場の大きさや競争環境、規制対応の負担が重い地域は自社で販売して利益を取り込み、現地の人員や許認可の体制を新たに築く負担が重い地域は、提携先に任せてロイヤルティを受け取る、という割り振りです。

この設計では、自社販売で得た利益を次の開発に回せるかどうかが、持続性を左右します。同社が営業キャッシュフローを複数の開発プログラムに充てると述べているのは、特定の製品の特許切れやジェネリック参入の影響(同社がリスクとして開示)に備えるためと読めます。単一製品への集中は、収益の強さと脆さの両面を持ちます。

また、ロイヤルティ側は提携先の努力に収益が左右されるため、自社が管理できる範囲と管理できない範囲を契約でどう切り分けるかが重要になります。これはOtsumuの解釈であり、企業の意図を示すものではありません。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社の商品・サービスのうち、自社で直接売る地域・顧客層と、他社に任せる地域・顧客層をどう分けると利益が高まるか。
  • 主力商品に収益が集中しているなら、その利益をどの次の柱に、どの割合で振り向けているか。
  • 他社に販売を任せる場合、売上に対するロイヤルティ率や報告の頻度をどう設計すれば、管理できない部分のリスクを抑えられるか。

小さく試すなら

  1. 1週目:売上を地域・顧客層・チャネル別に分け、自社で対応しきれていない領域を2〜3個洗い出す。
  2. 2週目:その領域を担当できそうな代理店・販売パートナー候補を3社ほどリストにし、求める条件(体制、実績)を整理する。
  3. 3週目:固定の卸価格、売上連動のロイヤルティ、最低支払額付きの3パターンで、自社の手残りを簡易試算する。
  4. 4週目:1社と期間限定の試験販売の条件案をまとめ、売上報告の頻度と確認方法を決める。

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資料の位置づけ

企業・サービス:Exelixis, Inc.(米国、CABOMETYX)。参照資料:Form 10-K(2025会計年度、2026年1月2日終了)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(目論見書・年次報告書・企業の公式発表など)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.25

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