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株式投資型クラウドファンディング「FUNDINNO」ほか

FUNDINNOは、未上場のスタートアップがインターネットで多くの投資家から株式で資金を集める場を運営し、成約時に発行企業から手数料を受け取ります。金融商品を扱う場では規制が事業設計を決めること、成約手数料の変動への備えを考えられる事例です。

分類:企業事例 › 証券・保険・資産運用

この事例の要点

  • 「FUNDINNO」は、スタートアップが株式や新株予約権を発行して資金を集め、投資家が1口10万円から投資できる株式投資型クラウドファンディングです。
  • 手数料は投資家からは受け取らず、発行企業から受け取ります。FUNDINNOの手数料は初回20.0%、2回目以降18.0%です。
  • 2025年10月期の営業収益25億105万円のうち88.5%が、資金調達の成約時に受け取る手数料を中心とするプライマリー領域でした。

どんな事業か

FUNDINNOは2015年11月に株式会社日本クラウドキャピタルとして設立され、2017年4月に株式投資型クラウドファンディングの第1号案件を開示しました。2022年2月に現在の商号に変わり、2025年12月に東京証券取引所グロース市場に上場しています(2025年10月期 有価証券報告書)。

事業は「未上場企業エクイティプラットフォーム事業」の単一セグメントで、三つの領域で構成されています(2025年10月期 有価証券報告書)。

  • プライマリー領域:資金調達を扱います。
  • グロース領域:調達後の株主管理SaaS「FUNDOOR」や人材採用支援を扱います。
  • セカンダリー領域:未上場株式の売買を扱います。

「FUNDINNO」では、スタートアップがプラットフォーム上で株式や新株予約権を発行して資金を集め、投資家は1口10万円から投資できます。大型の調達には、特定投資家だけが投資できる「FUNDINNO PLUS+」を用意しています(2025年10月期 有価証券報告書)。

収益の仕組み

手数料は投資家からは受け取らず、発行企業から受け取ります。有価証券報告書の表では、FUNDINNOの手数料は初回20.0%、2回目以降18.0%、FUNDINNO PLUS+は工数に応じて15%以上とされています(2025年10月期 有価証券報告書)。プライマリー領域の営業収益は、資金調達が成約した時点で受け取る成約手数料で、流通取引総額(GMV)にテイクレートを掛けて算出されると説明しています(2025年10月期 有価証券報告書)。

この事業には、金融商品取引法による規制がかかります。有価証券報告書は、一般の投資家が同一企業に投資できる額は原則年50万円以下、企業が調達できる額は年5億円未満、勧誘はインターネットのみであることを挙げています(2025年10月期 有価証券報告書)。企業が調達できる額に年間の上限があるため、手数料収入は成約する案件の数と規模の積み上げで決まると読めます。

お金を払う人・対価発行企業:成約時の手数料(投資家からは受け取らない)株式投資型クラウドファンディングかかる費用金融商品取引法の規制への対応成約案件の数と規模に左右される収入
図1 FUNDINNOの収益の流れ(有価証券報告書にもとづく整理)。

数字で確かめる

  • 2025年10月期の営業収益は25億105万円で、前期は11億8,480万円でした。経常利益は2億1,136万円で、前期は経常損失でした(2025年10月期 有価証券報告書)。
  • 営業収益の88.5%(22億1,339万円)がプライマリー領域、11.5%がグロース領域です(2025年10月期 有価証券報告書)。収益の大部分が成約手数料に依存していることが読み取れます。
  • 四半期ごとのGMVは36.3億円、19.6億円、41.7億円、31.7億円です(2025年10月期 有価証券報告書)。四半期によって大きく上下しており、成約手数料が一定しない収入であることが読み取れます。
  • 特定投資家数は同期末に1,622人です(2025年10月期 有価証券報告書)。大型の調達を担う投資家層の規模が読み取れます。
  • 同社は日本証券業協会の統計をもとに、2024年11月〜2025年10月の株式投資型クラウドファンディングの発行価額総額のうち、同社の取扱いが90.8%を占めると記載しています(2025年10月期 有価証券報告書)。
  • 事業等のリスクで、成約手数料は成約時にのみ発生するフローの収入であると説明しています(2025年10月期 有価証券報告書)。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。成約時に手数料を得るという点では、この事業は取引手数料型のマーケットプレイスであり、商品を先行販売する購入型のクラウドファンディングと構造が似ています。しかし、扱うものは商品の予約ではなく株式への出資です。そのためOtsumuは、投資の説明、制度への適合、発行企業の審査といった条件が、この事業の中核の仕事になると見ます。

投資家からは手数料を取らず、発行企業から受け取る設計は、投資家の参加の壁を下げる一方、案件を成約させなければ収入にならない構造を生むと考えられます。投資額や調達額の上限、勧誘方法の制限といった規制は、収益の上限と集客の方法をあらかじめ決めてしまいます。金融商品を扱う場では、規制が事業設計そのものになると読めます。

トレードオフは収益の変動です。四半期ごとのGMVの振れ幅は、フローの収入に頼ることの不安定さを示していると考えられます。調達後の株主管理や人材採用支援を扱うグロース領域は、調達を終えた企業との関係を継続的な収入に変える試みと読めます。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社が集めようとしているのは、商品の予約代金ですか、出資金ですか。両者を混同していませんか。
  • 扱うものに登録や上限、勧誘方法などの規制がある場合、それは収益の上限と集客の方法をどう制約しますか。
  • 成約時にだけ発生する収入に頼る場合、四半期ごとの変動をどの程度まで許容できますか。
  • 成約した後の顧客に、継続して提供できるサービスはありますか。

小さく試すなら

  1. 自社で資金調達を検討している場合、まず目的を「需要の確認」「製造資金の確保」「事業成長のための資本」に分けて書き出します。
  2. 需要の確認と製造資金が目的であれば商品の先行販売を、事業成長のための資本が目的であれば株式への出資を、別々の選択肢として整理します。集めたお金の性質、提供する対価、その後に負う責任の違いを一覧にします。
  3. 株式での調達を検討する場合は、利用できる制度、調達額の上限、株主が増えた後の管理の負担を調べ、弁護士や証券の専門家など適切な相手に確認します。この確認を経ずに募集の準備を進めないようにします。
  4. 2〜4週間程度で、どの手段が自社の目的と段階に合うかの判断材料がそろえば、選んだ手段のプラットフォーム事業者への相談へ進みます。判断がつかない場合は、先に商品の先行販売で需要を確かめてから、資本の調達を改めて検討します。

資料の位置づけ

企業・サービス:株式会社FUNDINNO / 株式投資型クラウドファンディング「FUNDINNO」ほか。参照資料の対象:2025年10月期 有価証券報告書。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

zigyo.ai の関連ナレッジ ↗をもとに、Otsumuが検証・実装・運用の観点から再編集しました。制度・仕様・サービスの現況は、各提供元の最新情報をご確認ください。

編集:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.20

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