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この事例の要点
- Lamar Advertising Companyは、米国ルイジアナ州バトンルージュに本社を置き、REITとして屋外広告の事業を営んでいます。2025年12月31日時点で、約159,300面の看板(ビルボード)を45州とカナダで保有・運営しています(Form 10-K、2025年12月期)。
- 2025年の純収益は2,266,214千ドルで、ビルボードが2,013,850千ドルを占めます。ビルボード部門の調整後EBITDAは1,116,702千ドルです(Form 10-K、2025年12月期)。
- 広告枠の貸し出しを軸に、自社保有の土地と借地の両方に構造物を建てて運営しています。あわせて、約5,500面のデジタル看板を展開しています(Form 10-K、2025年12月期)。
どんな事業か
Lamar Advertising Companyは、1902年からLamarの名称で事業を行っている屋外広告会社です。事業はビルボード、ロゴ、トランジット(交通広告)の3つの部門で構成されています。バス、シェルター、ベンチ、ロゴ板、空港のターミナルなどの広告スペースを貸し、広告原稿の制作から掲出、保守まで一貫して提供しています(Form 10-K、2025年12月期)。
主力のビルボードでは、大型で照明付きの「ブレティン」(主要幹線道路の車両向け)と、やや小型の「ポスター」(幹線道路や市街地の車両・歩行者向け)を主に貸しています。ロゴ部門は高速道路の出口付近でガソリン、飲食、宿泊などの案内広告を掲出するもので、2025年末時点で24州とカナダ・オンタリオ州の144,400面超を運営しています。広告構造物は同社が所有し、それを建てる場所は同社が所有するか賃借します(Form 10-K、2025年12月期)。
収益の仕組み
収益は、自社が建てた広告構造物の「空きスペース」を広告主に貸す構造です。
- 入り口:地元の営業担当者(2025年末時点で約1,000人)が、地域の広告主に広告枠を提案します。広告原稿のデザインや印刷の手配、掲出作業も、多くの市場で自社の制作スタッフが担います(Form 10-K、2025年12月期)。
- 課金:広告枠の掲出料が中心です。同社は、広告枠の拠点について、土地を所有する場合と賃借する場合があり、賃借の契約管理と更新の交渉を事業の重要な業務としています(Form 10-K、2025年12月期)。
- 継続:同社は、通常の看板に加えて、約5,500面のデジタルビルボードの枠も貸しています。デジタル化の展開は、事業の重要な戦略の1つとして挙げられています(Form 10-K、2025年12月期)。
数字で確かめる
- 純収益:2,266,214千ドル(前年は2,207,103千ドルで2.7%増)。ビルボードの増加(57.7百万ドル増)が全体の増加を支えていることが読み取れます(Form 10-K、2025年12月期)。
- ビルボード部門:純収益2,013,850千ドルに対し調整後EBITDAは1,116,702千ドルで、割合は約55.5%(EBITDA÷純収益)です。広告枠の貸し出しは、広告費に対して利益が残りやすい部門であることが読み取れます(Form 10-K、2025年12月期)。
- 全社の調整後EBITDA:1,058,243千ドル(2.4%増)。本社費用などを差し引いた後でも、10億ドルを超える水準にあることが読み取れます(Form 10-K、2025年12月期)。
- デジタル比率:デジタルビルボード約5,500面は、ビルボード約159,300面の約3.5%(5,500÷159,300)にあたります。大半が従来型の面で、デジタル化の余地が残っていることが読み取れます(Form 10-K、2025年12月期)。
- 費用構成:純収益に占める直接広告費は33.0%、減価償却費は14.4%(前年は21.0%)、営業利益率は34.2%(前年は24.1%)です。償却費の低下が営業利益率の改善に寄与していることが読み取れます(Form 10-K、2025年12月期)。
Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか
ここからはOtsumuの考察です。この事例は、「いったん建てた枠に、何度も異なる広告主が入る」ことで収益が成り立つ設計と読めます。構造物を建てて土地を押さえるまでに費用がかかる一方、運営に必要な追加費用は、掲出や保守が中心です。ビルボード部門のEBITDA率の高さは、この構造を反映していると考えられます。
また、同社は営業を地域ごとの担当者に任せ、制御は中央で行う方針を掲げています。広告主が地元の事業者であることが多い屋外広告では、地域に根ざした営業と、全国規模の運営基盤の両方が収益を支えていると読めます。
デジタル面は、掲出内容を入れ替えやすい形式であるため、枠の使い方の幅が広がると考えられます。ただし、デジタル面は全体の約3.5%にとどまり、設置と更新の投資が前提になります。広告枠の貸し出しは広告主の需要に左右されるため、その点には注意が必要です。
自社事業に持ち帰る問い
- 自社が持つ場所・画面・紙面・配信枠のうち、使われていない時間や面を、他社に貸せるものはないか?
- 一度つくった資産に、複数の相手が繰り返し入る形にして、1件ごとの追加費用を下げられないか?
- 地域や顧客ごとの営業を現場に任せつつ、制作・運用の基盤は共通化できているか?
小さく試すなら
- 自社の資産(店舗の壁面、ウェブの掲載枠、メールマガジン、会場など)を洗い出し、空いている枠を3つ選ぶ。
- そのうち1つについて、枠の仕様(サイズ、期間、想定される閲覧数の根拠)を1枚にまとめ、掲載料の仮の価格を決める。
- 2〜4週間で、取引先や顧客の候補5社に声をかけ、掲載の関心と価格への反応を記録する。
- 反応をもとに、枠を増やすか、価格を見直すか、運営の手間と効果を比べて判断する。
関連するビジネスモデル
資料の位置づけ
企業・サービス:Lamar Advertising Company(米国・Nasdaq上場)の屋外広告事業。参照資料:Form 10-K(2025年12月期)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。
参考資料と編集について
上記の公開資料(目論見書・年次報告書・企業の公式発表など)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.25