この事例の要点
- 「Makuake」は、プロジェクト実行者が量産前の新商品や新サービスを先行販売し、サポーターが応援購入する仕組みです。
- 手数料はプロジェクトが成立した場合に発生し、実行者からサポート手数料を、購入者から安心システム利用料を受け取ります。
- 2025年9月期は応援購入総額が前期比3.8%増だった一方、売上高は同25.3%増となり、営業利益4億4,726万円を計上しました(前期は営業損失)。
どんな事業か
マクアケは2013年5月に株式会社サイバーエージェント・クラウドファンディングとして設立され、同年8月に「Makuake」の提供を始めました。2019年12月に東証マザーズに上場し、2022年4月にグロース市場へ移行しています。2025年9月末時点で、株式会社サイバーエージェントが発行済株式総数の50.87%を保有しています(2025年9月期 有価証券報告書)。
有価証券報告書はMakuakeを、「プロジェクト実行者が量産前の新商品や新サービスをMakuake上で先行販売し、プロジェクトサポーターが応援の気持ちを込めて先行購入(応援購入)する仕組み」と説明しています(2025年9月期 有価証券報告書)。作り手にとっては、量産の前に買い手がいるかを確かめられる場です。
全てのプロジェクトに担当のキュレーターが付き、掲載前には実現可能性や法令遵守などを審査します(2025年9月期 有価証券報告書)。場を開くだけでなく、掲載するものを選び、実行者に伴走する体制を持っています。
収益の仕組み
中心は成立時の手数料です。購入が決まった(プロジェクトが成立した)場合に実行者から一定のサポート手数料を受け取り、同時に購入者からも応援購入金額に対する一定の手数料(安心システム利用料)を受け取ります(2025年9月期 有価証券報告書)。
実行者への資金の渡し方には、目標に届かなくても集まった金額を渡す「All-in方式」と、目標額に届いた場合だけ渡す「All or Nothing方式」があり、実行者の希望で決めます(2025年9月期 有価証券報告書)。
このほか、次のサービスでも手数料や報酬を得ています(2025年9月期 有価証券報告書)。
- 広告配信の代行
- 終了後の販売先となる「Makuake STORE」
- 実店舗で扱う「Makuake SHOP」
- 企業の新商品開発を支援する「Makuake Incubation Studio」
全件にキュレーターが付き審査を行うという説明から、人手のかかる運営であることがうかがえます。
数字で確かめる
- 2025年9月期の売上高は45億7,799万円(前期比25.3%増)、営業利益は4億4,726万円で、前期は営業損失でした(2025年9月期 有価証券報告書)。
- 同期の応援購入総額は172億2,165万円(前期比3.8%増)、安心システム利用料を含む取扱高は176億4,369万円です(2025年9月期 有価証券報告書)。取扱いの伸びより売上の伸びが大きく、取扱い以外の要因が売上を押し上げたことが読み取れます。
- サービス別の売上は、Makuakeが33億161万円、Makuake Incubation Studioが7,853万円、その他が11億9,785万円です(2025年9月期 有価証券報告書)。本体の手数料が中心で、周辺サービスも一定の規模を持つことが読み取れます。
- 会員数は2025年9月期第4四半期に323万8,627名です。リピート実行者による掲載開始数の割合は60%以上、サポーターのリピート応援購入金額の割合は75%以上と説明しています(2025年9月期 有価証券報告書)。出す側も買う側も繰り返し使う人が多いことが読み取れます。
- 同期は、掲載件数の拡大よりも1プロジェクト当たりの単価の向上に注力したと説明しています(2025年9月期 有価証券報告書)。
Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか
ここからはOtsumuの考察です。予約販売・クラウドファンディング型の場は、取引手数料で成り立つマーケットプレイスの一種と考えられます。手数料は成立した取引にだけかかるため、運営側の収益は成立率と1件当たりの金額に左右されます。一方で審査や伴走の人手は件数に比例してかかりやすいため、件数より単価に注力したという同社の説明は、この構造に沿った判断と読めます。
場が続く条件は、買い手が「届かないかもしれない」という不安を持たずに買えることだとOtsumuは見ます。掲載前の審査やキュレーターの存在は、そのための仕事と考えられます。審査を厳しくすれば掲載は減り、緩めれば信頼が損なわれるというトレードオフがあります。
出す側の立場で見ると、需要を先に確かめられ、代金も先に得られる利点があります。ただし、成立した後には製造と配送の責任が残ります。集まった金額は、これから商品を作って届けるための預かりに近いものであり、自由に使える利益として扱ってはならないとOtsumuは考えます。製造費、送料、手数料、遅延時の対応費用を引いた後に何が残るかを、募集の前に計算しておく必要があります。
自社事業に持ち帰る問い
- 量産の前に、買い手がいるかを確かめる手段を持っていますか。先行販売はその手段になりますか。
- 成立した場合の製造と配送の計画は、最小の数量でも最大の数量でも成り立ちますか。
- 集まった金額から、製造費、送料、手数料を引いた残りを、募集の前に試算していますか。
- 場を運営する側に立つ場合、審査や支援にかける人手は、1件当たりの手数料で賄えますか。
小さく試すなら
- 先行販売する商品を一つ決め、最小ロットでの製造費、送料、手数料を見積もり、提供の計画(数量、納期、製造先)を文書にします。
- 納期が遅れた場合に、誰が、いつ、どの手段で購入者に連絡するかを先に決め、連絡文の下書きを用意します。
- 2〜4週間程度、少数の見込み顧客に先行販売の形で案内し、購入した人には購入の理由を、購入しなかった人にはその理由を聞きます。
- 提供を終えたら、実際にかかった製造費、送料、対応の時間を記録し、見積もりとの差を確認します。購入理由が明確で、実費を引いても利益が残る見込みが立てば、プラットフォームでの本格的な募集へ進みます。
資料の位置づけ
企業・サービス:株式会社マクアケ / 応援購入サービス「Makuake」。参照資料の対象:2025年9月期 有価証券報告書。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。
参考資料と編集について
zigyo.ai の関連ナレッジ ↗をもとに、Otsumuが検証・実装・運用の観点から再編集しました。制度・仕様・サービスの現況は、各提供元の最新情報をご確認ください。
編集:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.20