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Riot Platforms「ビットコイン採掘と電力の収益化」に学ぶ固定価格電力を活かす事業設計

固定価格の電力契約を、採掘とデマンドレスポンスの両方で収益に変え、データセンターのリースへ広げるRiot Platformsの事例です。電力の使い道を選べる設計を、Form 10-Kから確かめます。

分類:企業事例 › 証券・保険・資産運用

この事例の要点

  • Riot Platforms, Inc.は、大規模な電力資産の開発と最適化を軸に、ビットコイン採掘と、採掘以外のワークロード向けデータセンターの2つのプラットフォームを展開しています(Form 10-K、FY2025)。
  • 固定価格で買う電力を、採掘に使うだけでなく、市場価格が高いときは使わずに戻して、その差額を電力クレジットとして得る設計です(Form 10-K、FY2025)。
  • 2026年1月にAMDとデータセンターのリース契約を結び、採掘一本から契約型の収益へ広げる動きが始まっています(Form 10-K、FY2025)。

どんな事業か

Riot Platforms, Inc.は米国の企業で、Nasdaqに上場しています。同社は自社を、垂直統合のデジタルインフラ企業と説明し、報告セグメントはビットコイン採掘(Bitcoin Mining)とエンジニアリング(Engineering)の2つです。テキサス州のRockdale施設(開発済み容量700MW)とCorsicana施設(同400MW、完成時に約1GWの見込み)などを保有・運営しています(Form 10-K、FY2025)。

エンジニアリング部門は、配電機器や受注生産の電気製品を設計・製造しており、社内の拠点開発を支えるとともに、データセンターや電力、水道などの外部顧客にも提供しています。自社で電気設備を作れることが、拠点の開発の遅れや取引先リスクを抑えると同社は説明しています(Form 10-K、FY2025)。

収益の仕組み

同社の収益と費用の構造は、電力を軸に整理できます(Form 10-K、FY2025)。

  • 採掘:計算能力をマイニングプールに提供し、ビットコインで報酬を得ます。利用するプールは「Full-Pay-Per-Share」型で、ブロックが見つからなくても、契約の計算式で報酬を受け取れます。
  • 電力クレジット:固定価格の電力契約を持つため、市場価格が高いときは採掘を止め、差額を電力会社からのクレジットとして得ます。ERCOTやMISOのデマンドレスポンス・プログラムでは、実際に停止を求められなくても、停止できる権利を売ることで報酬が出ます。
  • エンジニアリング:顧客との個別契約で、配電機器の設計・製造・設置の収益を得ます。
  • データセンターのリース:電力・用地・接続を備えた拠点を、顧客に長期で貸す収益を目指しています。
お金を払う人・対価マイニングプール:ビットコイン報酬電力会社:固定価格電力の差額クレジットと停止権の対価顧客:エンジニアリング契約とデータセンターのリースビットコイン採掘と電力・拠点の収益化かかる費用電力
図1 Riot Platformsの収益の流れ(Form 10-K、FY2025にもとづく整理)。

数字で確かめる

  • 2025年12月期の総収益は6億4,744万ドルで、前期の3億7,666万ドルから増えました。ビットコイン採掘が5億7,628万ドル、エンジニアリングが6,469万ドルです。採掘が収益の中心であることが読み取れます(Form 10-K、FY2025)。
  • 2025年は5,686枚のビットコインを採掘し、前年の4,828枚から17.8%増えました。稼働中のハッシュレートは38.5EH/sで、前年の31.5EH/sから伸びており、設備の拡大が収益に結びついていることが読み取れます(Form 10-K、FY2025)。
  • 電力クレジットは2025年が5,670万ドル、2024年が3,370万ドルでした。電力を使わずに収益に変える選択肢が、採掘とは別の収益源として育っていることが読み取れます(Form 10-K、FY2025)。
  • 2025年12月期は6億6,320万ドルの純損失でした。減価償却費が3億4,680万ドル、株式報酬が1億2,570万ドル、ビットコインの公正価値の変動が1億1,590万ドルなど、非現金の項目が大きいことが読み取れます(Form 10-K、FY2025)。
  • AMDとのリースは、初期25MWのクリティカルIT負荷で期間10年です。さらに最大75MWの拡張オプションと、追加100MWの優先交渉権があります。契約型の収益へ広げる最初の具体例で、拡張の余地が契約に織り込まれていることが読み取れます(Form 10-K、FY2025)。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。この設計の要は、固定価格の電力という「権利」を、使うか売るかを選べる形で持っていることだと読めます。採掘の収益が電力コストを上回るときは採掘に使い、市場価格が高いときは使わずに差額を受け取る。同じ資産から、状況に応じて高いほうの収益を選べるため、採掘一本よりも、電力という資源の価値を引き出しやすくなります。

データセンターのリースも、同じ発想の延長にあります。電力の接続、用地、水、光回線といった、手に入れるのに時間がかかる資源を持っていることが、顧客にとっての価値になります。採掘で培った拠点の開発力を、契約型の収益に振り向ける。収益の質を変える転換と読めます。

トレードオフは、拠点の開発に大きな投資が先行することです。リース契約の開始まで収益は立ち上がらず、同社が開示するように、非現金項目を含めた損失も大きくなっています。「持つことで選択肢が増える」ことと、「持つことで先行投資と資産価格の影響が増える」ことは表裏一体と捉えるのがよさそうです。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社が長期・固定で確保している資源(場所、設備、契約、人材)のうち、使わない時間に別の収益へ変えられるものはあるでしょうか。
  • 手に入れるのに時間がかかる資源のうち、顧客が自力では用意しにくいものは何でしょうか。
  • 単発の収益に頼る部分を、長期契約に切り替えられるとしたら、どの顧客・どの用途からでしょうか。

小さく試すなら

  1. 自社の設備、場所、人員、契約のうち、稼働率が低い時間帯や用途を洗い出し、空きの量を数字で把握します。
  2. その空きを必要としそうな相手を3〜5社ほど挙げ、貸す、受託する、融通するといった形で提供できるかを聞きます。
  3. 最も反応のよかった相手に、期間と量を限定した試験提供の条件案を示します。
  4. 2〜4週間で、試験提供に払う意向があるか、条件のどこが障害かを確認し、継続の契約にできるかを判断します。

関連するビジネスモデル

資料の位置づけ

企業・サービス:Riot Platforms, Inc.(米国・Nasdaq上場)/ビットコイン採掘と電力・データセンター事業。参照資料:Form 10-K(2025年12月期)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(目論見書・年次報告書・企業の公式発表など)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.25

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