この事例の要点
- Shake Shack Inc.は、ニューヨークの公園の売店から始まったハンバーガーチェーンで、2025年末で系列659店(直営373、ライセンス286)を展開しています(Form 10-K、2025年度)。
- 2025年度の売上14億4,531万ドルのうち、直営店の売上が96.3%、ライセンス収入が3.7%です。ライセンス収入は20.2%増の5,414万ドルでした(Form 10-K、2025年度)。
- 営業利益は6,251万ドルで、前年の304万ドルから回復しました。人件費比率の低下や、店舗の閉鎖・減損費用の減少が背景にあります(Form 10-K、2025年度)。
どんな事業か
Shake Shack Inc.は米国ニューヨーク州ニューヨーク市に本社を置き、ニューヨーク証券取引所に上場しています(Class A普通株式)。2004年にマディソン・スクエア・パークの売店として始まり、現在はロンドン、香港、上海、シンガポール、メキシコシティ、イスタンブール、ドバイ、東京、ソウルなど各地にも店を持っています(Form 10-K、2025年度)。
同社は自社のミッションを「世界最高水準のファインカジュアルの体験を、できるだけ多くの人に届けること」と述べています。店は主に直営で、海外の店と、米国内の空港・休憩施設・エンターテインメント施設などは、運営経験のあるパートナーにライセンスを与えて運営させる併用型です(Form 10-K、2025年度)。
収益の仕組み
収益は、直営店の販売(Shack sales)と、ライセンス店から得る収入(Licensing revenue)の2本立てです。
- 入り口:直営店に加え、パートナーが運営するライセンス店でもブランドの店を出す。店の運営はライセンス先が担い、2025年末時点で国内店は11社、海外店は10社が運営しています。
- 課金:直営店は販売額がそのまま売上になる。ライセンス店からは、売上に応じたライセンス料、出店時の料金、地域の独占的な開発権に対する地域料などを得る。
- 継続:ライセンス料は売上に連動するため、既存のライセンス店の売上が伸びれば収入が増える。2025年は40店のライセンス店が新たに開店しました。
直営店では、キオスクで電話番号を入力した利用者に個別の特典や課題(チャレンジ)を示す取り組みを進め、注文経路ごとの行動の把握を改善していると記載されています(Form 10-K、2025年度)。
数字で確かめる
- 売上:1,445,306千ドル(直営店1,391,166千ドル、ライセンス54,140千ドル)。直営店が売上のほぼすべてで、ライセンスは小さいが伸びていることが読み取れます(Form 10-K、2025年度)。
- 直営店の売上:前年比15.2%増。新規45店が2.185億ドルを寄与した一方、客数は減少したと説明されています。伸びの源泉が新店であることが読み取れます(Form 10-K、2025年度)。
- ライセンス収入:前年比20.2%増。既存ライセンス店の売上増が350万ドル、新規40店が約320万ドルを寄与したことが読み取れます(Form 10-K、2025年度)。
- 人件費比率:直営店の売上に対し25.9%で、前年の28.1%から低下。費用の比率が改善したことが読み取れます(Form 10-K、2025年度)。
- 営業利益:62,508千ドル(売上比4.3%)で前年の3,038千ドル(同0.2%)から改善。減損・処分・閉鎖費用が5,248千ドルと、前年の32,368千ドルから減ったことも寄与していると読み取れます(Form 10-K、2025年度)。なお2025年度は53週を含みます。
Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか
ここからはOtsumuの考察です。この事例は、同じブランドでも市場の性質に応じて「自社で運営する」と「他社に任せる」を使い分ける設計と読めます。都市部の主力店は自社で品質と顧客データを握り、海外や空港・カジノなどの特殊な立地は、現地や施設を知る運営者に任せる構造です。10-Kも、高い販売量が見込める場所には経験のある運営者と組んで入る方針を述べています。
ライセンス収入は売上の3.7%と小さいものの、直営店のように店舗の人件費や賃料を負担せず、売上に連動して入る収入です。一方で、直営店の売上の伸びは新規出店が主因で、客数は減少したと記載されており、既存店の客数をどう維持するかが課題として残ります。
学べるのは、拡大の手段を一つに固定せず、「品質を握りたい領域」と「パートナーに任せる領域」を線引きする視点です。ただし、ライセンス先の品質管理は自社で見る必要があり、10-Kでも限られた数のライセンス先への依存と、運営への限られた支配力がリスクとして述べられています。
自社事業に持ち帰る問い
- 自社が運営を握るべき領域と、パートナーに任せられる領域を、何を基準に分けているか。
- パートナー経由の収入が売上に連動する形になっていて、品質の基準を保つ仕組みは用意できているか。
- 新規拠点の伸びに隠れて、既存の客数の減少を見落としていないか。
小さく試すなら
- 1週目:地域・チャネル別に、売上、自社の人手、顧客データの重要度を並べる。
- 2週目:自社運営が必須の領域と、任せられる領域を3段階で仮に分ける。
- 3週目:任せられる領域のうち1つについて、パートナー候補との条件案(料率、品質基準、報告項目)を書く。
- 4週目:条件案を社内で検討し、小さな範囲(1地域、1商品)で試す場合の判断基準を決める。
関連するビジネスモデル
資料の位置づけ
企業・サービス:Shake Shack Inc.(米国、ニューヨーク証券取引所上場)。参照資料:Form 10-K(2025年度、2025年12月31日終了)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。
参考資料と編集について
上記の公開資料(目論見書・年次報告書・企業の公式発表など)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.25