この事例の要点
- Shoals Technologies Group, Inc.は、太陽光発電所や蓄電所で電気を運ぶ電気設備(EBOS)を、案件ごとに設計・製造して一式で納めています。売上の78.7%がシステム解決策の販売です(Form 10-K、FY2025)。
- FY2025は売上高が475,331千ドル(前年比19%増)、売上総利益率は35.0%でした。受注残と内定案件を合わせた金額は7億4,760万ドルと記載しています(Form 10-K、FY2025)。
- 一方で、一部の配線ハーネスの絶縁被覆に生じた「収縮」の問題で保証負担が発生し、製品の品質が収益に直結する事業であることも、同じ資料から読み取れます(Form 10-K、FY2025)。
どんな事業か
Shoals Technologies Group, Inc.は米国テネシー州ポートランドに本社を置き、Nasdaq Global Marketに上場しています。1996年の創業で、太陽光、蓄電システム(BESS)、データセンター向けの電気インフラ機器の設計・製造を手がけていると説明しています。製造拠点はテネシー州とアラバマ州にあります(Form 10-K、FY2025)。
太陽光業界では、パネルが作った電気をインバーターから送電網まで運ぶための機器を電気設備(EBOS)と呼びます。同社は、自社製品を使って案件全体のEBOSを設計・仕様決定する形の販売を「システム解決策」と呼びます。顧客は主にEPC(設計・調達・建設)会社で、ほかに公益事業者、開発事業者、独立系発電事業者、パネルメーカーなどがいます(Form 10-K、FY2025)。
収益の仕組み
同社は、売上の大半を占めるシステム解決策の販売について、顧客との契約に価格、仕様、納期、保証などを定めると説明しています。契約の金額は数十万ドルから数百万ドルで、契約上の納期は1〜3カ月ですが、案件の受注から見積もり、設計、製造、出荷までは通常12カ月以上の準備期間があるとしています(Form 10-K、FY2025)。
- 入り口:顧客の案件ごとに、設計と仕様決定の段階から関わります。設計支援を含めて入ることで、図面に載る部品として選ばれます。
- 課金:BLA(Big Lead Assembly)トランクバスなどの自社特許品を組み合わせたシステム解決策として販売します。個別部品やOEM向けの部品の販売もあります。
- 継続:案件ごとの受注に加え、最低購入量を定めた契約(テイク・オア・ペイ条項つき)を受注残として積み上げます。施工から運用への移行時にも技術支援を提供します。
同社は、BLAを使うことで、パネルの列ごとの配線を減らし、施工が単純になり安全性や信頼性も高まると説明しています。この説明は企業の見解であり、効果は案件の条件によって異なります。
数字で確かめる
- 売上高は475,331千ドル(FY2025)、前年は399,208千ドルで、76,123千ドル(19%)増えました(Form 10-K、FY2025)。市場の伸びとともに取扱量が増えていることが読み取れます。
- 売上総利益は166,508千ドルで、売上総利益率は35.0%です(前年は35.6%)。純利益は33,574千ドルで、前年の24,127千ドルから39%増えました(Form 10-K、FY2025)。部品を作って売る事業でも、設計と一式提供の付加価値で一定の利益率を保っていることが読み取れます。
- 2025年12月31日時点の受注残と内定案件の合計は7億4,760万ドルで、前年同時点から17.8%増えています。内訳は、確定した発注や最低購入量の約束にあたる受注残が3億2,620万ドル、契約書を作成中の内定案件が4億2,140万ドルです(Form 10-K、FY2025)。先の売上の手がかりになる一方、内定案件は契約前の部分であることが読み取れます。
- 単独で最も売上の多い顧客が19.1%、上位5顧客が53.7%を占めました(Form 10-K、FY2025)。少数の大口顧客に売上が集中していることが読み取れます。
- 配線ハーネスの絶縁被覆の収縮問題について、同社は損失の見積もりを7,300万ドルとし、2025年には約4,100万ドルの現金をこの対応に使ったと記載しています。原因は仕入先が製造した電線の欠陥だと同社は考えており、その仕入先を相手に訴訟を起こしています(Form 10-K、FY2025)。設計・製造を一式で請け負う事業では、部品の不具合が保証の負担になり得ることが読み取れます。
Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか
ここからはOtsumuの考察です。この事業は、「受注設計型のハードウェア」「システム解決策としての提供」の型で読むことができます。電気設備は、発電所の中で目立たない部分ですが、故障の影響が大きい部分でもあります。同社自身が、故障の結果は設備の損傷や火災などに及び得ると10-Kに記載しています。そのため、顧客は価格だけでなく、設計の実績や信頼性を重視すると考えられます。設計の段階から入り、自社の仕様が図面に載れば、部品の見積もり競争になる前に選ばれやすくなります。
この型の強みは、設計と部品が一体で売れることです。一方で、責任も一体で負うことになります。保証の負担が7,300万ドルと見積もられた事例は、その表れと読めます。システム全体の責任を負うことで高い付加価値を得る代わりに、仕入先の品質管理や不具合時の対応が、収益を左右する要素になると考えられます。
また、データセンターや蓄電へと対象を広げている点も注目できます。同社は太陽光で培った直流電力の設計経験を、新しい用途へ展開する方針を示しています。ただし、これは企業の方針の説明であり、成果は今後の開示で確かめる必要があります。
自社事業に持ち帰る問い
- 自社の商品は、顧客の設計や仕様決定の段階から関われているでしょうか。それとも見積もり比較の段階で初めて呼ばれているでしょうか。
- 商品を「部品」ではなく「一式の解決策」として売るとき、自社はどこまでの責任を持つと決めているでしょうか。
- 仕入先の品質問題が起きたとき、顧客への対応と仕入先への求償を進める手順は、あらかじめ決まっているでしょうか。
小さく試すなら
- 直近の受注または失注の案件から5件を選び、顧客が自社商品を知った時点が、設計の前か後かを記録します。
- 設計の前に関われた案件で、顧客が評価した点(提案の中身、実績、技術支援など)を担当者から聞き取ります。
- 評価された点を材料に、案件の初期に使える一枚の提案資料を作り、次の案件の相談段階で使ってみます。
- 2〜4週間で、設計の前に呼ばれる案件が増えるか、顧客が見積もり比較以外の理由で自社を選ぶ発言があるかを確認します。変化がなければ、提案資料の中身を見直します。
関連するビジネスモデル
資料の位置づけ
企業・サービス:Shoals Technologies Group, Inc./EBOS(電気設備)システム解決策。参照資料:Form 10-K(FY2025〔2025年12月31日終了年度〕)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。
参考資料と編集について
上記の公開資料(目論見書・年次報告書・企業の公式発表など)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.25