コンピューター操作エージェントとは
コンピューター操作エージェントとは、AIがパソコンの画面を読み取り、クリックや文字入力などの操作を人の代わりに行って、指示された作業を進める仕組みのことです。
平易に言えば、「画面を見ながらパソコンを操作してくれるAIのアシスタント」です。「この請求書の内容を経費精算システムに入力して」と指示すると、AIがブラウザを開き、画面の項目を見つけて入力していく、といった使い方が想定されています。
英語では Computer Use、ブラウザに限定したものはブラウザ操作エージェントなどと呼ばれます。AIの提供各社がこの種の機能を発表しており、AIエージェントの一つの形として注目されています。
仕組み・ポイント
コンピューター操作エージェントは、おおむね次の繰り返しで動きます。
- 画面の状態を画像やページの構造として取得する
- AIが画面の内容を理解し、指示された目的に向けて次の操作を決める
- クリック、文字入力、スクロールなどの操作を実行する
- 操作後の画面を再び取得し、結果を確かめて次の操作を決める
- 目的を達成するか、続けられない状況になるまで繰り返す
似た目的を持つ仕組みとの違いを整理すると、次のとおりです。
| 方式 | 動き方 | 強み | 弱み |
|---|---|---|---|
| API連携 | システム同士がデータを直接やり取りする | 速く、確実 | APIがないシステムには使えない |
| RPA | 事前に記録した手順どおりに画面を操作する | 決まった作業を安定して繰り返せる | 画面の変更に弱く、判断を伴う作業は苦手 |
| コンピューター操作エージェント | AIが画面を見て、その場で操作を判断する | 手順が多少変わっても対応できる | 遅く、誤操作の可能性があり、費用もかかる |
ポイントは、コンピューター操作エージェントが「最後の手段」に近い位置づけであることです。APIで連携できるならAPIの方が速く確実で、手順が決まっているならRPAの方が安定します。APIがなく、手順が毎回少しずつ違う作業に、この方式の出番があります。
実務での使い方・具体例
ある会社の経理担当者が、複数の取引先のWebサイトにログインして請求書をダウンロードし、社内の会計システムに転記する作業を毎月行っていたとします(架空の例)。取引先のサイトはそれぞれ画面の作りが違い、APIもありません。
そこで、コンピューター操作エージェントを試験的に導入し、次のように運用しました。
- 専用のパソコン環境を用意し、エージェントが操作できる範囲を限定する
- 取引先のサイトから請求書をダウンロードし、内容を読み取って一覧にまとめる作業までをエージェントに任せる
- 会計システムへの登録は、担当者が一覧を確認して承認してから行う
- 操作の記録と画面の記録を残し、失敗した処理は担当者が確認する
この構成で、確認と承認の作業は残しつつ、サイトを一つずつ開いてダウンロードする手間を減らしました。
導入を検討するときは、次の点を確かめておきましょう。
- APIやRPAなど、より確実な方法で代替できないか
- 誤操作が起きたときの影響はどれくらいか、取り消せる操作か
- エージェントに与えるアカウントの権限を最小限にできるか
- 支払い、送信、削除など取り消せない操作の前に、人の承認を挟めるか
よくある誤解と注意点
どんな作業でも任せられる、わけではありません。 現時点では、人より操作が遅く、画面の読み違いによる誤操作も起こります。誤りの影響が小さい作業や、人が後で確認できる作業から始めるのが安全です。
安全面の配慮が欠かせません。 エージェントが閲覧したWebページに、AIを誤動作させる指示が仕込まれている可能性もあります。普段使いのパソコンや管理者権限のアカウントで動かさず、隔離した環境と最小限の権限で使いましょう。
利用規約の確認も必要です。 自動操作を禁止しているWebサービスもあります。対象のサービスの規約を確認してから使ってください。
費用と時間も見込んでおきましょう。 一つの操作ごとにAIが画面を判断するため、処理量が多いと利用料がかさみます。
関連用語
- ヒューマン・イン・ザ・ループ(HITL):重要な操作の前に人が確認・承認する設計
- RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション):決められた手順で画面操作を自動化する仕組み
- Function Calling(ツール呼び出し):AIがAPIなどの道具を呼び出して作業する仕組み
- マルチエージェント:複数のAIエージェントが役割を分担して作業する構成
- ガードレール(AI):AIの動作を監視し、不適切な操作を防ぐ仕組み
- 実践記事:AIエージェントの誤動作を防ぐ:権限制限と監視ログの設計
Otsumuに相談できること
コンピューター操作エージェントは魅力的な技術ですが、API連携やRPA、業務手順の見直しで解決できる作業も少なくありません。Otsumuでは、対象の作業を分解して最も確実な自動化の方法を選び、AIに任せる範囲と人の承認点を決めたうえでAIエージェント開発を進めています。業務全体の自動化を検討する場合は自社サービス運用の自動化コンサルティングもご用意しています。
画面操作の繰り返しに困っている段階でもご相談ください。30分の無料相談でお気軽にお声がけください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.01