ドッグフーディングとは
ドッグフーディングとは、自社で開発した製品やサービスを、まず自社の社員が実際の業務や生活の中で使い、不具合の発見や使い勝手の改善につなげる取り組みのことです。
平たく言えば、「自分たちが作ったものを、自分たちで本気で使う」ことです。外部の利用者に提供する前に、社員が利用者の立場で使うことで、作り手が気づきにくい問題を早く見つけられます。
英語の "eating your own dog food"(自社のドッグフードを自分で食べる)という表現から来ています。自社製品に自信があるなら、まず自分たちで使ってみせよ、という意味合いで、ソフトウェア業界を中心に広まりました。
仕組み・ポイント
ドッグフーディングは、テストやベータ版とは目的が少し異なります。
| 手法 | 使う人 | 主な目的 |
|---|---|---|
| テスト | 開発者、テスト担当者 | 仕様どおりに動くかの確認 |
| ドッグフーディング | 社員(利用者として) | 実際の利用場面での使い勝手と価値の確認 |
| ベータ版 | 社外の限られた利用者 | 実際の顧客環境での検証 |
ドッグフーディングの強みは、毎日の業務で使うことで、テストの手順書では見つからない問題に気づけることです。たとえば、「この操作は一日に何十回もするのに、毎回3回クリックが必要で面倒だ」といった気づきは、実際に使い続けて初めて得られます。
うまく進めるためのポイント
- 本番に近い使い方をする:試しに触るだけでなく、実際の業務の道具として使う
- 開発者以外も使う:営業、経理、カスタマーサポートなど、製品をよく知らない社員の視点が重要
- 気づきを記録する仕組みを作る:専用のチャットや投稿フォームを用意し、気軽に報告できるようにする
- 報告に応える:寄せられた気づきへの対応状況を共有し、報告する意欲を保つ
実務での使い方・具体例
架空の例として、中小企業向けの日報・タスク管理サービスを開発している会社を考えます。この会社は、正式公開の前に全社員がこのサービスで日報を書き、タスクを管理することにしました。進め方は次のとおりです。
- 期間と対象を決める:全社員が、公開前の一定期間、既存のツールの代わりに使う
- 移行の準備をする:既存ツールから必要なデータを移し、使い方を簡単に説明する
- 気づきの報告ルールを決める:専用のチャンネルに投稿し、週に一度まとめて優先順位をつける
- 改善を回す:重要度の高いものから直し、改善した内容を社内に共有する
- 社外の視点で補う:社員の使い方と、想定顧客の使い方の違いを整理し、社外のベータ版で確認する
期間中に集まった気づきは、そのままでは量が多く、何から直すべきか判断しにくくなります。不具合、使いにくさ、機能の要望の三つに分け、さらに「業務が止まるか」「毎日の手間が増えるか」で重要度をつけると整理しやすくなります。同じ気づきが複数の社員から寄せられた場合は、それだけ多くの利用者がつまずく可能性が高いと考えられます。
新規事業のMVPでも有効です。自社が想定顧客と同じ課題を持っている場合、自社で使い続けることで、価値があるかどうかを早い段階で確かめられます。社内の業務改善のために作ったツールを、のちに外部向けのサービスに育てる、という事業の始まり方もこの考え方の延長です。
よくある誤解と注意点
- 社員の評価が顧客の評価と同じ、とは限らない:社員は製品の背景を知っており、多少の使いにくさにも慣れてしまいます。社外の利用者による検証は別に必要です。
- 自社の業務に最適化しすぎる:社員の要望ばかりを反映すると、自社専用のツールになってしまいます。想定顧客との違いを意識します。
- 形だけで終わる:既存のツールと併用を許すと、結局使われなくなります。期間中は置き換えて使うことが効果的です。
- 報告が集まらない:報告の手間が大きいと、気づきは埋もれます。一言で投稿できる仕組みにします。
- 想定顧客と業務が違う場合は効果が限られる:自社が対象の業界と異なる場合は、ドッグフーディングで得られる気づきの範囲を見極めます。
関連用語
- ベータ版:社外の限られた利用者に試験的に使ってもらう段階。ドッグフーディングの次に行われることが多い
- ユースケース:社員が使う場面と、想定顧客が使う場面を比べる際に役立つ整理の方法
- カスタマーアドバイザリーボード:社外の顧客の声を継続的に取り入れる仕組み
- スタートアップスタジオ:事業を繰り返し作る組織。自社で使いながら製品を磨く手法がよく使われる
実践記事:社内ノウハウをSaaS化する、クローズドベータテストの進め方
Otsumuに相談できること
Otsumuは自らも事業を手がける立場から、作ったものを自分たちで使い、改善していく進め方を大切にしています。社内の課題から生まれたツールを外部向けのサービスに育てたい場合や、検証用のプロダクトを短期間で形にしたい場合は、新規事業の爆速MVPシステム開発でご一緒できます。
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執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.01