ERRCグリッドとは
ERRCグリッドとは、提供する製品やサービスの価値を、「取り除く(Eliminate)」「減らす(Reduce)」「増やす(Raise)」「付け加える(Create)」の四つの方向から見直し、整理するための表です。
ブルーオーシャン戦略の中で紹介された道具で、業界で当たり前とされている競争の要素を疑い、新しい価値の組み合わせを考えるために使われます。四つの頭文字をとって、ERRCと呼ばれます。
ERRCグリッドの使い方
四つの問いを、次の表に整理します。
| 方向 | 問い |
|---|---|
| 取り除く | 業界で当たり前とされているが、実は顧客が価値を感じていない要素は何か |
| 減らす | 業界の標準より、思い切って減らしてよい要素は何か |
| 増やす | 業界の標準より、大きく増やすべき要素は何か |
| 付け加える | 業界がこれまで提供してこなかった、新しい要素は何か |
使い方の手順は、まず業界で競争の軸となっている要素を一覧にします。次に、各要素を、四つの問いに沿って整理します。
この道具の狙いは、「取り除く」「減らす」で費用を下げながら、「増やす」「付け加える」で顧客の価値を高め、両立を図る点にあります。通常、機能を足す発想に偏りがちですが、引く発想を加えることで、価値の構造を見直せます。
整理した後は、その案が顧客にとって本当に価値があるかを、ヒアリングなどで確かめます。机上の案のままでは、仮説にすぎません。
実務での使い方・具体例
架空の例として、既存の事業者向けの業務サービスが、機能の多さと手厚い個別の支援で競っている市場を考えます。新規参入のチームは、ERRCグリッドで整理します。
「取り除く」として、複雑な初期設定。「減らす」として、使われていない高度な機能。「増やす」として、導入後すぐ使える簡単さ。「付け加える」として、利用の成果を定期的に確認できる仕組み、といった案が出ます。
これらの案を、顧客への聞き取りで確かめ、顧客が価値を感じる要素を絞ります。こうして、競合とは異なる、単純で価値の分かりやすい提供の形を探ります。机上の整理は、あくまで検証の出発点として扱います。
作成した表は、顧客ヒアリングの場で見せる方法もあります。顧客が「それは不要」「それは大切」と反応する様子から、要素ごとの価値の大きさが分かり、案の優先順位をつけられます。
よくある誤解と注意点
誤解されやすいのは、四つの欄を埋めることが目的となることです。重要なのは、顧客が実際に何を価値と感じ、何を不要と感じているかを、事実で確かめることです。
また、「取り除く」「減らす」の判断を、社内の都合や想像で行うと、顧客が必要としている要素を削ってしまうことがあります。削る要素の判断は、顧客の行動や利用の実態をもとに行います。
さらに、新しい価値の組み合わせが、採算に合うかの検討も必要です。顧客の価値と費用の構造の両面から、案を評価します。整理した案は、検証を通じて磨くものと考え、更新していくことが大切です。
見直しは、一度で終わらせずに、定期的に行います。市場や顧客の期待は変わるため、かつて削った要素が必要になったり、増やした要素が当たり前になったりすることがあります。
整理の際は、各要素について、顧客が実際にどれだけ重視しているかを、調査の結果などの根拠とともに書きます。根拠のない案は、仮説として印を付けておき、検証の対象にします。
関連用語
- ブルーオーシャン・レッドオーシャン:この道具が紹介された、新しい市場空間を考える戦略です。
- バリュープロポジション(価値提案):見直した価値を、顧客に約束する言葉にするものです。
- 競合分析:業界の競争の軸を把握するための、事前の調査です。
- ペイン・ゲイン:顧客にとっての課題と成果を確かめるための視点です。
Otsumuに相談できること
引き算の発想は、顧客の事実を踏まえてこそ有効です。Otsumuでは、価値の構成要素の見直しと、その検証の進め方について支援を行っています。
新規事業の戦略づくりは新規事業戦略支援で扱っています。進め方の整理だけでも構いませんので、状況に合わせて30分の無料相談をご利用ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.04