フリーランス法(フリーランス・事業者間取引適正化等法)とは
フリーランス法(フリーランス・事業者間取引適正化等法)とは、フリーランスとして働く個人が、発注事業者と取引をする際に、不利な立場に置かれないよう、取引の適正化と、就業環境の整備を図るための法律です。
フリーランスは、会社に雇用されず、個人として仕事を請け負う人です。発注する側の事業者に比べ、交渉の力が弱くなりがちなため、取引条件の明示や、報酬の支払い、ハラスメントの対策などについて、発注する側の義務が定められています。
仕組み・ポイント
発注する側が、一般に意識すべき事項を整理します。
| 事項 | 内容 |
|---|---|
| 取引条件の明示 | 業務の内容、報酬、支払期日などを書面等で明示する |
| 報酬の支払い | 定められた期日までに支払う |
| 禁止される行為 | 受領の拒否、報酬の減額、返品、不当な給付内容の変更など |
| 募集の情報 | 募集時の情報を、正確に表示する |
| 就業環境 | ハラスメントへの対応などの体制の整備 |
| 契約の中途解除 | 一定の場合の事前の予告 |
義務の内容は、発注する側の事業者の形態や、委託の期間によって異なります。たとえば、従業員を雇っていない事業者と、雇っている事業者とで、義務の範囲が違う部分があります。
また、フリーランスと雇用の区別は、働き方の実態で判断されます。指揮命令を受け、時間や場所を拘束されている場合には、実質的に労働者と評価される可能性があり、別の法令の適用が問題になります。
実務での使い方・具体例
以下は、状況を一般化した架空の例です。実際の事業では、自社の契約や数字に合わせて読み替えてください。
新規事業で、デザイナー、エンジニア、ライターなどのフリーランスと契約する機会は、多くなります。契約の前に、業務の範囲、成果物、報酬、支払期日、修正の回数などを、書面やメールで明確に伝えます。これにより、フリーランスの側にも、受託の内容がはっきり伝わり、後のトラブルが減ります。
発注の窓口となる担当者が、法律の内容を知らないまま、口頭で追加の依頼をしたり、報酬の支払いを遅らせたりしないよう、社内で運用のルールを共有します。
実務でのチェックポイント
- 発注のたびに、業務内容、報酬、支払期日を、書面等で明示する。
- 追加や変更が生じる場合は、報酬や納期を含めて、合意を記録する。
- 経理と連携し、支払期日を守る流れを整える。
- ハラスメントなどの相談窓口や、対応の方針を用意する。
- フリーランスとの契約の雛形を、法律の内容に合わせて見直す。
よくある誤解と注意点
- フリーランスだから、契約書は不要、というわけではありません。取引条件の明示が、発注する側の義務になります。
- 対象となる取引の範囲や、義務の内容は、取引の形態によって変わります。
- 発注側の都合による、突然の中止や、報酬の変更は、法令上の問題になる場合があります。
- 実態として、雇用に近い働き方をさせていると、別の法令の問題が生じます。
- 法律の施行の時期や、運用の指針は、変更されることがあり、最新の情報の確認が必要です。
フリーランスは、事業のパートナーでもあります。法令を守ることに加え、公平で、透明な関係を築くことが、長期的な協力につながります。
本稿は一般的な説明であり、個別の取引の法的判断を行うものではありません。
なお、制度や基準は変わるため、最新情報は公的機関・専門家で確認してください。
関連用語
- 取適法(中小受託取引適正化法):中小の受託事業者との取引に関する法律
- 業務委託契約:外部へ業務を依頼する契約
- 労働者性:働き方の実態で判断される考え方
- 偽装請負:実態が雇用に近いとされる問題
- 関連する実践ノート
Otsumuに相談できること
フリーランスと協力して進める新規事業では、契約の明示と支払いの運用が、信頼の土台になります。契約書や発注の流れの整理をしたいときに、お気軽にご相談ください。詳しくは新規事業の戦略・事業計画の支援ページをご覧ください。
論点の整理から始めたい段階でも、30分の無料相談をご利用いただけます。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.04