発行可能株式総数とは
発行可能株式総数とは、会社が、定款で定めた、将来発行できる株式の最大の数のことです。すでに発行した株式と、今後発行できる株式の合計の枠、と考えられます。「授権株式数」「授権資本」と呼ばれることもあります。
会社が新しく株式を発行する場合は、この枠の範囲内で行う必要があります。枠を超えて発行したい場合は、定款を変更して、枠を広げる手続きが必要です。
仕組み・ポイント
確認しておきたい点を整理します。
- 現在の枠:定款に定められた、発行可能な株式の総数。
- 発行済みの株式数:すでに発行した株式の数。
- 残りの枠:枠から発行済みの数を引いた、残りの数。
- 潜在株式:新株予約権が行使されたときの数も、枠の中で考える。
- 枠の変更:枠を広げるための、定款の変更の手続き。
枠の管理は、資本政策と一体で考えます。将来の調達や、従業員への権利の付与を見越して、必要な枠を確保しておくと、いざという時に慌てずに済みます。
担当者が代わっても分かるよう、枠と使用状況を、一覧にして記録しておくことも有益です。
実務で見落とされやすいのは、枠が足りるかどうかを調べる担当が決まっていない点です。株式の発行は経営の判断ですが、枠の管理は事務の領域で、両者がつながっていないと、調達の直前に不足が分かります。調達の計画を立てる会議の議題に、枠の残りを必ず入れる運用にしておくと安全です。
また、枠は広げすぎてもよいわけではなく、会社の規模や方針に合う水準を、専門家と相談して決めます。
実務での使い方・具体例
架空の例として、新規事業の会社が、次の資金調達を計画する場面を考えます。担当者は、定款の発行可能株式総数と、発行済みの株式数、付与済みの新株予約権の数を、確認します。
次の調達で発行する株式の数が、残りの枠に収まるかを、計算します。収まらない場合は、定款変更の手続きを、調達のスケジュールに組み込みます。
枠は、一度に使い切るのではなく、将来の調達にも余裕を持たせて設計することが、望ましいと言われます。
たとえば、枠の残りが少ないと分かった場合は、調達の条件の交渉と並行して、定款変更の議案を準備します。定款変更が遅れて調達の実行日がずれると、資金繰りにも響くため、変更に必要な期間を逆算して、早めに社内の合意を取り始めます。
進め方の例
- 定款から、発行可能株式総数を確認する。
- 発行済みの株式数と、潜在株式の数を集計する。
- 次の調達や付与で必要になる数を見積もる。
- 枠が不足する場合は、変更の手続きを予定に入れる。
よくある誤解と注意点
- 枠が足りないことに、手続きの直前で気づくと、調達の時期に影響します。
- 新株予約権の行使で発行される株式の数も、枠を使うことを、見落としがちです。
- 枠を広げる手続きには、決議と登記が必要です。
- 枠の設計の考え方は、会社の状況によって異なります。専門家に相談します。
- 種類株式を発行する場合は、種類ごとの発行可能な数も、定款で定める必要があります。全体の枠だけでなく、種類ごとの枠も、あわせて確認します。
- 枠の管理表は、定款の変更のたびに更新し、最新の数字が一目で分かる状態にしておくと、調達の準備の際に役立ちます。
制度や基準は変わるため、最新情報は公的機関・専門家で確認してください。
関連用語
Otsumuに相談できること
資金調達の準備をする場面では、発行可能な株式の残りの枠を、あらかじめ計算しておくことが重要です。詳しくは事業戦略・調査の支援をご覧ください。状況の整理から始めたい場合は、30分の無料相談をご利用ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.04