感度分析・シナリオ分析とは
感度分析とは、計画や予測の前提となる数値(単価、顧客数、費用など)を一つずつ変えて、結果がどれだけ変わるかを調べる方法です。シナリオ分析とは、複数の前提を同時に変えた「楽観」「標準」「悲観」といった状況を設定し、結果を比べる方法です。
新規事業の計画は、不確実な仮定に基づいているため、どの仮定が結果に強く影響するかを知ることが重要です。
仕組み・ポイント
二つの分析の違いと使い分けは次のとおりです。
| 観点 | 感度分析 | シナリオ分析 |
|---|---|---|
| 変える対象 | 前提を一つずつ | 複数の前提を組み合わせて |
| 目的 | 影響の大きい前提を見つける | 起こり得る状況を想定する |
| 結果 | どの前提に敏感かの順位 | 状況ごとの結果 |
感度分析で影響の大きい前提が分かれば、それを優先して検証できます。シナリオ分析では、例えば「顧客の獲得が遅れ、費用が増える」といった現実的な組み合わせを想定し、その場合に事業が続けられるかを確認します。
実務での使い方・具体例
架空の例として、新規サービスの収支計画を検証する場面を考えます。単価、獲得できる顧客数、解約の程度、営業の費用など、主要な前提を一つずつ変えて、収支への影響を表にします。最も敏感な前提が顧客の獲得数だと分かれば、その検証を最優先にします。
シナリオ分析では、悲観的な状況でも事業が継続できるか、資金が尽きないかを確認します。悲観のシナリオで資金が不足するなら、資金の確保や、撤退の基準を事前に決めておく判断につながります。分析は、予測を当てるためではなく、備えるために行います。
進め方の手順
- 計画の主要な前提を一覧にする
- 各前提の確度(確かな、仮の、未確認)を記す
- 前提を一つずつ変え、結果への影響を見る
- 影響が大きく確度の低い前提を特定する
- その前提の検証を、最優先の課題にする
シナリオの作り方
楽観、標準、悲観の三つを基本に、それぞれの状況を言葉で説明します。数字だけでなく、どんな出来事が起きたのかを描くと、関係者が理解しやすくなります。
結果の共有
分析の結果は、関係者に分かりやすい形で共有します。どの前提が鍵か、悲観の状況でどう備えるかを明示し、検証と対応の計画につなげます。## よくある誤解と注意点
- 分析は未来を当てるためでなく、不確実性の中で判断するためのものです。
- 変化の幅を現実離れした範囲にすると、有益な示唆が得られません。
- 楽観のシナリオだけを示して説得するのは、不誠実です。
- 計算に時間をかけすぎて、検証が遅れないようにします。簡易な表でも十分に役立ちます。
結果の活用
分析の結果、悲観のケースでも事業が成り立つなら、計画への信頼が高まります。成り立たない場合は、どの条件が変われば成り立つかを確認し、そこが事業の鍵になります。例えば、価格の水準や、顧客の継続の程度などです。結果を、検証の優先順位や、資金計画の余裕の設定に活かします。分析は一度で終わらせず、新しい情報が得られるたびに更新します。
数字を超えた議論
分析の表を見ながら、「この条件が悪化したとき、私たちは何をするか」を話し合います。事前に対応を考えておくことで、実際に起きたときの動きが速くなります。
関連用語
- 損益分岐点:採算の水準を見る考え方
- NPV(正味現在価値):将来の資金収支を現在価値で見る指標
- 仮説検証:弱い仮定を実際に確かめる進め方
- リスクの高い前提(最重要仮説):最も危うい前提を先に確かめる考え方
Otsumuに相談できること
計画の弱い仮定を見つけ、検証の順番を決める作業は、新規事業の初期に特に有効です。分析の設計や結果の読み方を、一緒に整理することができます。
新規事業・事業戦略の支援 では、こうした整理を現場の状況に合わせて進めています。まずは考えていることを聞かせていただくだけでも構いません。30分の無料相談をご利用ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.04