契約不適合責任とは
契約不適合責任とは、売買や請負などで引き渡された目的物が、種類、品質、数量などについて、契約の内容に適合しない場合に、引き渡した側が負う責任のことです。契約で約束した内容と、実際に引き渡されたものが食い違っているときに問題になります。
民法の改正により、以前の「瑕疵担保責任」という考え方に代わって整理されました。契約の内容に合っているかどうかが基準になるため、契約書で、何を約束したのかを具体的に書くことの重要性が高まっています。
仕組み・ポイント
契約不適合があった場合に、引き渡しを受けた側が求められる対応には、複数の種類があります。
| 求める内容 | 概要 |
|---|---|
| 追完 | 修補、代替物の引渡し、不足分の引渡しを求める |
| 代金の減額 | 不適合の程度に応じて、代金の減額を求める |
| 損害賠償 | 不適合により生じた損害の賠償を求める |
| 契約の解除 | 一定の場合に、契約を解除する |
これらの請求ができる期間や、不適合を知ってから通知すべき期間などは、法律に定めがあります。ただし、契約書で、期間や対応の内容を別に定めることも広く行われています。ソフトウェアの開発では、「何をもって不適合とするか」が不明確になりやすいため、仕様書や受入の基準を、あらかじめ定めておくことが実務で重要です。
具体的な期間や、特約の有効性は、取引の内容によって判断が変わるため、個別に専門家へ確認が必要です。
実務での使い方・具体例
以下は、状況を一般化した架空の例です。実際の事業では、自社の契約や数字に合わせて読み替えてください。
新規事業のシステム開発を外部に委託する場合、納品後に不具合が見つかったとき、どこまで無償で対応してもらえるかが問題になります。契約書に、不具合の定義、対応の方法、対応の期間、費用の負担を、具体的に書いておくことで、後の紛争を避けられます。
また、受け取る側も、検収の際に、仕様書に沿って確認を行い、不適合があれば、速やかに相手に通知する運用を整えます。通知を怠ると、権利の行使に影響が出る場合があります。
実務でのチェックポイント
- 仕様書や要件定義書に、成果物が満たすべき条件を書く。
- 検収の基準と手順、期限を、契約に明記する。
- 不具合が見つかった場合の通知の方法と、対応の期間を決める。
- 対応の費用の負担を、どちらが負うかを決める。
- 納品後の保守契約と、不適合への対応の範囲を整理する。
よくある誤解と注意点
- 不具合があれば、いつまでも無償で修正してもらえるわけではありません。契約で定めた期間や条件があります。
- 仕様が曖昧なまま始めると、何が不適合かの判断が分かれ、争いになりやすくなります。
- 旧来の瑕疵担保責任の考え方と、現在の契約不適合責任とでは、内容が異なります。
- 責任を制限する特約は、内容によっては、有効性が問題になる場合があります。
- 法令の内容は改正されることがあり、最新の情報の確認が必要です。
契約の交渉では、責任の範囲を、一方的に狭めたり広げたりするのではなく、リスクの大きさと報酬のバランスを考えた設計が望まれます。
本稿は一般的な説明であり、個別の契約の判断を行うものではありません。
なお、制度や基準は変わるため、最新情報は公的機関・専門家で確認してください。
関連用語
- 検収:納品物を確認する工程
- 請負契約・準委任契約:請負と準委任の違い
- 瑕疵担保責任(旧称):旧来の考え方
- 損害賠償の上限(責任制限条項):責任の範囲を限定する条項
- 関連する実践ノート
Otsumuに相談できること
開発や制作を委託する契約では、成果物の基準と対応の条件が、後の信頼関係を左右します。委託の進め方や契約の整理をしたいときに、お気軽にご相談ください。詳しくは新規事業の戦略・事業計画の支援ページをご覧ください。
論点の整理から始めたい段階でも、30分の無料相談をご利用いただけます。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.04