この事例の要点
- BJ's Wholesale Clubは米国で会員制のホールセールクラブを263運営し、年会費を払う会員は800万人超です。
- 年会費は通常の「Club」会員が一般に60ドル、特典が付く「Club+」会員が一般に120ドルの二階層です。
- FY2025には、Club+会員と提携クレジットカード会員が会員の42%、商品購買額(ガソリンと年会費を除く)の52%を占めました。
どんな事業か
BJ's Wholesale Clubは、米国で会員制のホールセールクラブを運営しています。2026年1月31日時点のクラブ数は263で、店舗の広さは4万4,000〜17万7,000平方フィートです。すべての資産は米国内にあります(Form 10-K、FY2025)。
年会費を払う会員は800万人超です。自社のプライベートブランド「Wellsley Farms」と「Berkley Jensen」は、ガソリンを除く売上の約27%を占めています(Form 10-K、FY2025)。
収益の仕組み
収益は商品販売と会員の年会費からなります。年会費は、通常の「Club」会員が一般に60ドル、追加の特典が付く「Club+」会員が一般に120ドルです。同社は、会員が年会費に対して大きな価値と節約の見返りを得られるようにすることを目標にしていると説明しています(Form 10-K、FY2025)。
同社はまた、会員制モデルは事業の重要な要素であり、会員は年会費と購買の両方で業績を左右すると説明しています(Form 10-K、FY2025)。会員は年会費を払う存在であると同時に、商品を買う存在でもあるため、上位会員が増えると年会費と商品売上の両方に影響が出ます。上位会員向けの特典にかかる費用の内訳は今回参照した公開資料に記載がないため、ここでは扱いません。
数字で確かめる
- 売上高合計は214億5,727万ドルで、うち商品売上209億5,750万ドル、年会費収入4億9,977万ドルです(Form 10-K、FY2025)。売上の大半は商品ですが、年会費が独立した収入項目として立っていることが読み取れます。
- 年会費収入は前年比9.5%増で、FY2024は4億5,648万ドルでした。同社は、会員獲得と維持の好調、上位会員の比率上昇、年会費の値上げによるものだと説明しています(Form 10-K、FY2025)。
- 営業利益は8億1,660万ドルです(Form 10-K、FY2025)。年会費収入は営業利益の約6割に相当する規模であり、利益への寄与が大きいことが読み取れます。
- 継続期間が一定以上の会員の更新率(tenured renewal rate)は90%です(Form 10-K、FY2025)。長く続けている会員ほど離れにくいことを示す指標と読み取れます。
- Club+会員と提携クレジットカード会員の比率は、FY2024の会員の39%、購買額の50%から、FY2025は42%、52%になりました(Form 10-K、FY2025)。会員に占める比率より購買額に占める比率が高く、上位会員ほど多く買っていることが読み取れます。
- 同社は、年会費収入を25年以上連続で伸ばしていると述べています(Form 10-K、FY2025)。
Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか
ここからはOtsumuの考察です。年会費制の販売に階層を設ける型は、同じ会員基盤から年会費の単価と購買額の両方を引き上げる手段と考えられます。ただし、階層化が意味を持つのは、上位プランに差額を払うだけの追加価値があるときに限られるとOtsumuは見ます。特典が弱ければ上位への移行は進まず、特典が強すぎれば特典の費用が年会費の増分を上回ります。
そのため、上位プランは年会費の増収だけで評価せず、上位会員の商品売上と特典にかかる費用を合わせて見る必要があると考えられます。同社が上位会員と提携カード会員について、会員数の比率と購買額の構成比を並べて開示している点は、この両面を追う姿勢の表れと読めます。
裏側で必要になる仕事は、会員ごとの購買の把握、特典の運用、提携カード会社との連携、更新時期の案内などです。更新率を「継続期間が一定以上の会員」という定義で示している点からは、入会直後の会員と定着した会員を分けて管理する必要があることもうかがえます。新規事業で階層を設ける場合も、まず通常プランの更新理由を確かめ、そのうえで上位の特典を足す順序が現実的だとOtsumuは考えます。
自社事業に持ち帰る問い
- 上位プランを設けるなら、差額を払う価値があると感じてもらえる特典は何ですか。その特典に自社はいくらかけられますか。
- 上位会員の比率だけでなく、上位会員の購買額や利用量を追う仕組みがありますか。
- 更新率は、入会からの期間別に分けて測れますか。
- 提携カードのように、他社と組むことで会員の便益と自社の収益の両方を増やせる相手はいますか。
小さく試すなら
- 通常プランと、追加特典を付けた上位プランの二案を、料金と特典の一覧として紙一枚にまとめます。
- 既存の顧客または見込み顧客に二案を見せ、どちらを選ぶか、その理由、実際に使いそうな特典と使わなそうな特典を聞き取ります。
- 2〜4週間程度、少人数で二案を実際に運用し、特典ごとの利用状況、提供にかかった費用、購入額の変化を記録します。
- 利用された便益と「次も続けたい理由」が上位プランで明確に出て、特典費用が増収の範囲に収まる見込みが立てば、上位プランを正式に設計します。理由が通常プランと変わらない場合は、階層化より通常プランの改善を優先します。
資料の位置づけ
企業・サービス:BJ's Wholesale Club Holdings, Inc. / 会員制ホールセールクラブ(BJ's Wholesale Club)。参照資料の対象:FY2025(2026年1月期)Form 10-K。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。
参考資料と編集について
zigyo.ai の関連ナレッジ ↗をもとに、Otsumuが検証・実装・運用の観点から再編集しました。制度・仕様・サービスの現況は、各提供元の最新情報をご確認ください。
編集:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.09.20