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Simon Property Group「モールとプレミアム・アウトレット」に学ぶ固定賃料と売上連動で稼ぐ場の事業設計

モールやプレミアム・アウトレットを運営し、固定の賃料と売上連動の賃料を組み合わせるSimon Property Groupの事例を、Form 10-K(FY2025)の数値で読み解き、場の運営で稼ぐ設計を学びます。

分類:企業事例 › 不動産・建設・住宅

この事例の要点

  • Simon Property Groupは、モール、プレミアム・アウトレット、ザ・ミルズなどの商業施設を保有・運営するREITです。2025年は売上高の約92%を賃貸収入(Lease income)が占めました(Form 10-K、FY2025の数値から算出)。
  • 賃貸収入は、固定の最低賃料と、テナントの売上に連動する変動賃料などで構成されます。
  • 施設に集客する価値を、テナントの賃料と売上連動の収入に変える設計です。一方で、小売の動向と大型テナントの動きに影響を受けます。

どんな事業か

Simon Property Group, Inc.はNYSEに上場するREITです。「一流のショッピング、飲食、エンターテインメント、複合用途の場」を保有・開発・運営していると説明しています。2025年12月31日時点で、米国に212の収益物件を持っています。内訳は、モール108、プレミアム・アウトレット70、ザ・ミルズ16、ライフスタイルセンター6、その他の小売12で、38州とプエルトリコにあります(Form 10-K、FY2025〔2025年12月31日終了年度〕)。

2025年10月31日には、保有していなかったTaubman Realty Groupの残り12%を取得しました。同社は、米国の203物件で管理または共同管理を担っています(Form 10-K、FY2025)。

収益の仕組み

  • 入り口:小売・飲食・エンターテインメントのテナントを誘致し、施設に貸します。
  • 課金(固定):最低賃料と、共用部の維持費(CAM)の固定の償還です。
  • 課金(変動):テナントの報告売上にもとづく賃料と、不動産税・光熱費・販促費などの償還です。
  • 周辺:共同事業の物件の管理手数料、開発手数料、リーシング手数料も収益になります。
お金を払う人・対価テナント:最低賃料と共用部維持費の償還(固定)テナント:売上にもとづく賃料(変動)共同事業の物件:管理・開発・リーシング手数料モールとプレミアム・アウトレットの保有・運営
図1 Simon Property Groupの収益の流れ(Form 10-Kにもとづく整理)。

数字で確かめる

  • 2025年の売上高は6,364.5百万ドルで、2024年の5,963.8百万ドルから増えました。うち賃貸収入は5,839.2百万ドルで、前年の5,389.8百万ドルから449.4百万ドル増えています(Form 10-K、FY2025)。賃貸収入が売上の大半を占め、増収の主因であることが読み取れます。
  • 賃貸収入の増加は、主に固定の最低賃料の増加、稼働の上昇、物件の取引によるとされます(Form 10-K、FY2025)。固定部分の積み上げが、収益を支えていることが読み取れます。
  • 米国のモールとプレミアム・アウトレットの平均基本賃料は、1平方フィートあたり60.97ドルで、前年の58.26ドルから4.7%上がりました(Form 10-K、FY2025)。賃料の水準が上がっていることが読み取れます。
  • 同じ範囲の期末の稼働率は96.4%で、前年の96.5%から0.1ポイント下がりました(Form 10-K、FY2025)。高い稼働率を維持していることが読み取れます。
  • 2025年の12か月で、新規1,112件、更新2,035件の契約を結びました。面積は合計で約11.4百万平方フィートです(Form 10-K、FY2025)。多数の契約を継続的に入れ替えながら運営していることが読み取れます。

Otsumuの読み解き:なぜ成り立つのか

ここからはOtsumuの考察です。この事業は、「人が集まる場」を持つことが、テナントにとっての価値になり、それが賃料に換わる構造と読めます。固定の賃料で収益の土台を作り、売上連動の部分で、場が賑わうほど収益が伸びる余地を残す設計です。

テナントの構成を入れ替え続けることも、運営の一部です。同社は、百貨店などの大型テナントが閉店した場合、後継のテナントを入れるのに時間と費用がかかると、リスク要因に記載しています。場の魅力を保つには、テナントの入替えと再開発に継続して投資する必要があります。

また、同社は、オンライン小売や、ディスカウント店などの独立した店舗との競合も、リスクとして挙げています。場の価値は固定ではなく、集客力を維持することで保たれると読めます。

一方で、基本賃料の上昇と稼働率の維持が同時に起きている点は、テナントが場に払う価値を認めている一つの表れと読めます。ただし、テナント側の売上や採算は本資料だけでは分からないため、賃料の上げ幅に余地があるかどうかは、別の確認が必要です。

自社事業に持ち帰る問い

  • 自社が提供している「場」や「接点」の価値は、取引先にどう伝わっているでしょうか。
  • 固定の収入と、成果に連動する収入を、どの比率で持つのが自社に合っているでしょうか。
  • 取引先を入れ替え続けるとき、場の魅力を保つ基準は何でしょうか。

小さく試すなら

  1. 自社の収入を、固定的なものと成果連動のものに分け、比率を確認します。
  2. 取引先に、自社の「場」や接点を使うことで得られた成果を聞き、言葉を集めます。
  3. 成果連動の部分を小さく導入する案を一つ作ります。上限と下限、測定の方法を決めます。
  4. 2〜4週間のうちに、1社に案を提示します。受け入れられるか、測定が負担にならないかを確かめます。

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資料の位置づけ

企業・サービス:Simon Property Group, Inc.のモール、プレミアム・アウトレット、ザ・ミルズの運営。参照資料:Form 10-K(FY2025〔2025年12月31日終了年度〕)。このページは公開情報にもとづく学習用の分析です。Otsumuの支援実績や当該企業との取引関係を示すものではありません。示唆と検証案はOtsumuの考察であり、企業自身の見解とは区別しています。

参考資料と編集について

上記の公開資料(企業の決算短信または年次報告書)をもとに、Otsumuが執筆しました。数値と企業の説明は資料の記載の範囲にとどめ、Otsumuの考察とは分けています。数値は資料の表記のままで、最新の情報は各社の開示をご確認ください。

執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.25

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