コンバーティブル・エクイティ(転換型の資金調達)とは
コンバーティブル・エクイティとは、資金を受け取る時点では株式の価格を確定せず、将来の資金調達などの出来事をきっかけに、株式へ転換することを前提とした調達の仕組みです。「後で株式に姿を変える資金」と捉えると理解しやすいでしょう。
英語の convertible(転換できる)と equity(株式・持分)を組み合わせた言葉です。新株予約権を使う形など、実際の契約の形はいくつかあり、名称が同じでも内容は案件ごとに異なります。
仕組み・ポイント
この仕組みで押さえたい要素を整理します。
- 受け取る資金の額:投資家が払い込む金額で、転換の計算の元になります。
- 転換のきっかけ:次の資金調達や会社の売却など、転換が起きる場面が決まっています。
- 転換の価格の決め方:次の調達時の価格に対する割引や、上限を置く方法などがあります。
- 転換されない場合:期限までに転換が起きなかったときの扱いも、あらかじめ定めます。
- 投資家の立場:転換されるまでは、通常の株主とは異なる立場にあります。
この形式が選ばれる背景には、初期の企業の評価額を、第三者が合理的に決めるのが難しいという事情があります。評価の交渉に時間をかけるより、早く資金を受け取って事業を進め、後の調達で価格が決まるのを待つ、という考え方です。
一方で、後で価格が決まる際に、創業者の想定より持分が減る可能性もあります。その可能性を理解したうえで選ぶことが大切です。
実務での使い方・具体例
架空の例として、新規事業の会社が、評価額の見通しが立ちにくい段階で、この形式による資金を受ける場面を考えます。担当者は、次の調達が小さい場合、大きい場合、起きなかった場合の三つを想定し、それぞれの転換後の持分割合を試算します。
試算の結果を創業者や既存の株主と共有し、どの程度の持分が将来動き得るかを共通の認識にします。評価額を先に決めなくてよい点は利点ですが、決めなかった分の不確実さを、持分の試算で補うイメージです。
社内で意思決定する際には、転換型を選ぶ案と、評価額を決めて株式を発行する案を並べて比べます。転換型は手続きが早く進む利点がありますが、将来の持分が確定しない不安が残ります。株式を発行する案は、持分が確定する代わりに、評価額の交渉に時間がかかります。どちらが事業の状況に合うかを、資金が必要な時期とあわせて判断します。
進め方の例
- 受け入れる資金の額と、使い道を決める。
- 転換のきっかけと価格の条件を、案ごとに比べる。
- 次の調達の規模を変えて、持分の割合を試算する。
- 条件を契約書に反映し、専門家と確認する。
よくある誤解と注意点
- 株式を発行していないのだから、持分は減らないと考えるのは誤りです。転換されれば株式が増えます。
- 評価額を決めない形でも、転換の価格の条件が事実上の評価として働きます。
- 転換の条件が複数あると、将来の持分の計算が複雑になります。表に整理します。
- 契約の内容は案件ごとに違うため、他社の事例をそのまま当てはめません。
- 複数の投資家から受ける場合、全員の条件が揃っているとは限りません。条件の違いが、転換後の持分の優先関係に影響することがあります。
制度や基準は変わるため、最新情報は公的機関・専門家で確認してください。
関連用語
- J-KISS:日本で使われる代表的な枠組み
- 新株予約権:転換型で用いられる権利
- 希薄化:転換で生じる持分の変化
- バリュエーション(企業価値評価):転換の価格の背景にある評価
- 関連する実践ノート
Otsumuに相談できること
転換型の資金調達を検討する場面では、将来の持分の動き方を複数の想定で整理しておくことが重要です。詳しくは事業戦略・調査の支援をご覧ください。状況の整理から始めたい場合は、30分の無料相談をご利用ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.04