市場セグメンテーションとは
市場セグメンテーションとは、市場全体を、ニーズや行動、特徴が似ている顧客のグループ(セグメント)に分けることです。市場細分化とも呼ばれます。
多様な顧客全体を一つの製品で満足させることは難しいため、どの顧客群に、どんな価値を届けるかを考える前提として、まず市場を分けて理解します。マーケティングの基本であるSTP(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング)の最初の段階にあたります。
セグメンテーションの軸と良い分け方の条件
分類の軸には、次のようなものがあります。
| 軸 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 属性 | 年齢、性別、業種、規模など | 従業員が少数の事業者 |
| 地理 | 地域、環境 | 都市部と地方 |
| 行動 | 利用の頻度、購入の方法 | 繰り返し依頼する、単発で依頼する |
| 状況 | 課題が起きる場面、きっかけ | 繁忙期に人手が足りなくなる |
| 価値観・ニーズ | 重視する価値 | 費用より手間の削減を重視 |
新規事業では、属性だけでなく、課題が起きる状況や、行動で分けることが有用です。同じ属性でも、困っている状況は異なるためです。
良い分け方の条件は、次のとおりです。
- 区分の中は似ており、区分の間は違っていること。
- 区分ごとに、異なる対応(製品や訴求)が必要であること。
- 区分の人々に、接触し、提供できること。
- 一定の需要が見込めること。
分けること自体が目的ではなく、重点を置く顧客を決めるために行います。
実務での使い方・具体例
架空の例として、在宅で働く人向けの新しいサービスを考えます。年齢で分けると、同じ世代でも、在宅の頻度や働き方が大きく異なります。そこで、「週の大半を在宅で働き、仕事と生活の境界が曖昧になって困っている人」という、状況の軸で分けます。
この区分には、課題が明確で、似た行動を取り、接触の経路もあります。顧客ヒアリングでその状況を確かめると、さらに、「集中できる時間を確保したい人」「孤立を避けたい人」といった、ニーズで細分化できることが分かります。
分けた結果をもとに、最初に取り組む区分を決め、その区分に特化した価値提案と検証を進めます。複数の区分を同時に狙わないことが、初期の事業では重要です。
分け方に迷うときは、顧客ヒアリングの記録を並べて、行動や状況の似ているものを集める方法があります。分類の軸が顧客の事実から自然に見えてくるため、想像だけで分けるより、実態に合った区分になります。
よくある誤解と注意点
誤解されやすいのは、細かく分けるほど良いという考えです。細かすぎると、各区分の需要が小さくなり、事業として成立しません。区分に分ける目的と、事業の規模のバランスを考えます。
また、年齢や性別といった分けやすい軸だけで分類しても、ニーズの違いを捉えられないことがあります。顧客の行動や状況を観察して、意味のある軸を探します。
さらに、一度決めた区分を固定的に考える危険もあります。調査を進めると、想定していなかった区分が見つかる場合があります。分類は仮説として扱い、顧客の事実に基づいて見直します。
区分ごとに、接触の方法と、課題の強さを一覧にして比べると、取り組む順番を決めやすくなります。判断の根拠を残しておけば、方針の見直し時に、前提の変化を確認できます。
区分の名前は、チームが共通して理解できる、具体的な言葉にします。「小規模事業者」より「少人数で請求業務を一人で担う事業者」のように、状況が想像できる名前にすると、議論がすれ違いにくくなります。
関連用語
- ターゲティング:分けた区分の中から、重点を置く対象を選ぶ段階です。
- ポジショニング:選んだ顧客に、どう選ばれたいかを定める段階です。
- ペルソナ:区分の中の代表的な顧客像を、具体的に描くものです。
- ジョブ理論(JTBD):属性ではなく、顧客の用事で需要を捉える見方です。
Otsumuに相談できること
顧客をどう分けるかは、事業の焦点を決める重要な判断です。Otsumuでは、顧客の分け方の検討と、最初に狙う区分の選定について支援を行っています。
新規事業の戦略づくりは新規事業戦略支援で扱っています。進め方の整理だけでも構いませんので、状況に合わせて30分の無料相談をご利用ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.04