ポジショニングとは
ポジショニングとは、ターゲットとして選んだ顧客の心の中で、競合や代替手段と比べたときに、自社の製品やサービスがどんな位置にあり、どんな理由で選ばれるのかを定めることです。
STP(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング)の最後の段階にあたります。「ポジション」は立ち位置を意味し、顧客から見た自社の独自の位置づけを、意図的に設計する考え方です。
ポジショニングの考え方と手順
手順を整理します。
- 対象顧客を確認する:誰に選ばれたいのか。
- 顧客の比較の軸を探る:購入の際、顧客は何を基準に比べているか。
- 競合・代替手段の位置を把握する:その軸で、現在の選択肢はどう見られているか。
- 自社の位置を決める:選ばれる理由として、顧客に伝えたい位置を決める。
- 一貫して伝える:製品、価格、説明の言葉で、位置づけを統一する。
重要なのは、比較の軸を、自社が言いたい特徴ではなく、顧客の判断の基準から選ぶことです。顧客が重視しない軸で優れていても、選ばれる理由にはなりません。
また、ポジショニングは、言葉だけでなく、提供の中身の裏付けが必要です。「簡単」という位置づけなら、実際に操作が簡単であることが、顧客の体験として確かめられなければなりません。
位置づけは、一つの明確な軸に絞ると、顧客に伝わりやすくなります。
実務での使い方・具体例
架空の例として、小規模な事業者向けの業務サービスが、既存の高機能な競合と、手作業の代替手段の間に、自社を位置づけるとします。顧客に聞いた結果、購入の際に重視する軸は、「機能の多さ」ではなく、「導入後すぐ使えるか」「担当者が一人でも運用できるか」でした。
この軸で見ると、高機能な競合は複雑で、手作業は手間がかかる位置にいます。そこで自社は、「担当者一人で、導入初日から使える手軽さ」を、選ばれる理由として定めます。
この位置づけを、説明の言葉、初期の設定の簡単さ、サポートの方法などで一貫させ、実際に顧客が体験できる形にします。位置づけが顧客に伝わっているかは、反応を見て確かめ、必要に応じて修正します。
位置づけが顧客に伝わっているかを確かめるには、顧客に「この製品を一言で説明するとしたら」と尋ねます。顧客の言葉が意図した位置づけと近ければ伝わっており、離れていれば表現の見直しが必要です。
よくある誤解と注意点
誤解されやすいのは、ポジショニングを、広告のキャッチコピーを考えることだと捉えることです。実際は、製品や価格を含む提供全体の、顧客からの見え方を設計する作業です。
また、自社の強みを複数並べて主張すると、位置づけが曖昧になります。顧客に伝わるのは、一つか二つの明確な理由です。
さらに、競合との比較を、自社の視点だけで行う危険もあります。顧客の実際の選択肢には、競合以外の代替手段や、何もしない選択も含まれます。顧客への調査で、実際の比較の様子を確かめた上で、位置づけを決めます。
位置づけは、市場や競合の変化で見直しが必要になることがあります。定期的に、顧客の判断軸と競合の状況を確認し、必要に応じて位置づけを更新する仕組みを持つと安心です。
位置づけを決める際は、選ばれる理由を一文で説明できるかを確認します。説明が長くなる場合は、要素が多すぎる可能性があるため、最も重要な一点に絞ります。顧客に伝わる、明快な位置づけを目指します。
関連用語
- 市場セグメンテーション:ポジショニングの前提となる、顧客を分ける作業です。
- ターゲティング:位置づけを考える対象の顧客を選ぶ段階です。
- ポジショニングマップ:位置づけを視覚的に確認するための図です。
- バリュープロポジション(価値提案):位置づけを、顧客への約束として言葉にしたものです。
Otsumuに相談できること
顧客にどう選ばれるかの設計は、事業の差別化の核心です。Otsumuでは、顧客の判断軸の調査と、位置づけの検討について支援を行っています。
新規事業の戦略づくりは新規事業戦略支援で扱っています。進め方の整理だけでも構いませんので、状況に合わせて30分の無料相談をご利用ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.04