ターゲティングとは
ターゲティングとは、市場セグメンテーションで分けた顧客の区分の中から、自社が重点的に取り組む対象を選ぶことです。標的となる顧客を決める作業で、STP(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング)の第二段階にあたります。
限られた資源で成果を出すために、すべての顧客を狙わず、価値を届けやすく、事業として成立しやすい対象に絞ります。「ターゲット」は的を意味し、狙いを定める行為を指します。
ターゲットを選ぶ観点
選ぶ際の観点を、次の表に整理します。
| 観点 | 確認すること |
|---|---|
| 市場の魅力 | 一定の需要があり、課題が強いか |
| 到達可能性 | 顧客に接触し、情報を届けられるか |
| 提供の能力 | 自社が、その顧客に価値を提供できるか |
| 競争の状況 | 競合や代替手段との関係で、選ばれる余地があるか |
| 将来の広がり | 成功した後に、次の区分へ広げられるか |
市場の魅力だけでなく、接触のしやすさと提供の能力を重視する点がポイントです。需要が大きい区分でも、接触が難しい、提供する力がなければ、事業として機能しません。
新規事業では、最初のターゲットを、小さく具体的に絞るのが有効です。「誰でも」を対象にすると、訴求も製品も曖昧になり、誰にも強く響きません。
絞る際は、第一のターゲットが、事業の初期の検証に協力してくれる顧客であるかも考慮します。
実務での使い方・具体例
架空の例として、複数の顧客区分を整理した結果、「忙しい小規模事業者」「大規模な組織の担当部署」「個人の専門職」の三つの候補があったとします。
市場の魅力は大規模な組織が高いものの、導入の判断に時間がかかり、接触も難しい状況でした。一方、小規模事業者は、課題が強く、少ない人数で導入を決められ、直接の対話もしやすいと分かりました。
そこで、最初のターゲットを小規模事業者に定めます。成功した後に、事例を作って、次の区分へ広げる計画を立てます。選定の根拠と、見直しの条件(たとえば、需要が想定より小さい場合)も、あらかじめ記録しておきます。
判断が難しいときは、候補ごとに、少数の顧客に話を聞き、課題の強さと導入の意思決定の様子を確かめます。実際の会話から得た事実があると、候補の比較が、好みの議論から根拠のある議論に変わります。
よくある誤解と注意点
誤解されやすいのは、市場が大きい区分を選べば良いという考えです。大きな市場には競合も多く、接触や提供が難しい場合があります。自社が現実的に取り組める対象を選ぶことが重要です。
また、ターゲットを絞ると、他の顧客を失うという不安から、広く構える失敗があります。初期は絞ることで、強い価値を作り、その後に広げるほうが効果的な場合が多くあります。
さらに、ターゲットの選定は、一度決めて終わりではありません。顧客の実態が分かるにつれて、見直しが必要になります。検証の結果をもとに、柔軟に更新します。
選定の理由を文書に残し、チーム全員が共有します。何を重視して選んだかが共有されていれば、状況が変わったときの見直しの議論も、スムーズに進められます。
選んだ理由に加えて、選ばなかった区分についても理由を記録しておきます。後で状況が変わったときに、選び直す判断の材料になり、チーム内で「なぜ他の区分を狙わないのか」という議論を、効率的に整理できます。
関連用語
- 市場セグメンテーション:ターゲティングの前提となる、顧客を分ける作業です。
- ポジショニング:選んだ顧客に、どう選ばれるかを決める次の段階です。
- ペルソナ:選んだターゲットの人物像を具体的に描くものです。
- キャズム:最初のターゲットから次の層へ広げる際の考え方です。
Otsumuに相談できること
誰を最初の顧客にするかは、事業の初期を左右します。Otsumuでは、ターゲットの選定の観点の整理と、選定後の検証の進め方について支援を行っています。
新規事業の戦略づくりは新規事業戦略支援で扱っています。進め方の整理だけでも構いませんので、状況に合わせて30分の無料相談をご利用ください。
執筆:Otsumu株式会社 / 編集日 2026.10.04